介護版BSC×4o
介護版BSC×4Oモデルとは?
介護業界の多くの事業所が抱える課題――「収支改善が進まない」「離職率が高い」「地域からの紹介が減った」――。これらを根本から見直すために有効なのが、BSC(バランス・スコアカード)を応用した“介護版4Oモデル”です。
4Oモデルとは?
| 領域 | 説明 | 主な指標例 |
| Outreach(地域連携・営業) | 地域との関係構築・ケアマネ対応・発信力 | ケアマネ訪問数、紹介件数、SNS更新頻度 |
| Organization(組織・人材) | 職員の採用・教育・定着・風土 | 離職率、研修実施数、1on1面談実施数 |
| Operation(業務) | 日々の業務の質・効率・ICT化 | ヒヤリ件数、記録ミス、ICT導入率 |
| Outcome | 収益性・稼働率・満足度 | 営業利益率、稼働率、利用者満足度 |
バランス・スコアカード(BSC)との融合
従来のBSCでは、経営戦略を以下の4視点で見える化します。
- 財務視点(収益)
- 顧客視点(利用者・地域)
- 業務プロセス視点(現場)
- 学習と成長視点(職員)
これを介護版4Oに置き換えることで、より直感的で現場にも伝わりやすい形で活用できるのが「介護版BSC×4Oモデル」です。
BSC視点 → 4O領域
財務視点 → Outcome(成果)
顧客視点 → Outreach(地域連携・営業)
業務プロセス → Operation(業務)
学習と成長 → Organization(組織・人材)
各視点は実際には相互に連動

学習のと成長の視点での、職員のスキルアップがあるからこそ、業務の視点の業務標準化や業務の質が確保でき、またそれがあるから、利用者様の満足が図られ、それにより家族様またはケアマネージャー様の満足度が上がり、それによって紹介や継続利用期間が上がり。結果として利益率が向上します。それに留まらずさらに職員に学習や待遇を向上することで好循環を目指します。
連動による実例
このようなことを言うと絵に描いた餅のように思われるかと思うでしょうが、実際に検査装置シャアナンバーワンのキーエンスは、営業の提案力の高さで有名です。この会社の営業マンの提案スキルは高く(学習と成長の視点)、訪問件数(業務の標準化)や提案力(業務の質)があり、市場ににないような商品を作り満足度は高く(顧客の視点)、それにより業界内での高い営業利益率を上げています(財務的視点)。また成功例は社内で共有化され好循環を果たしているのです。
介護業界でも5S活動や業務改善を行っている事業所は多くありますので、別の業界だけの話ではないのです。
見えるかは経営の大事な視点
業務は常に連動・連携しています。それがもし上手くいっていなかったら業務は滞ります。管理者が常に監視していれば見つけることも可能でしょう。しかし、見ていなかったら気づくのは遅れます。さらに一人が複数の仕事をしている場合はどうでしょう。これも、見ていなかったら気づくのは遅れてしまいます。しかし、集団で同じ場所で働くような施設型の場合ではなく、訪問や個人で行う作業は監視できません。しかし、その場では分かりにくいので作業を指標にして管理すればいいのです。
KGIとKPI
これをKPI(Key Performance Indicator)といいます。または事業成功のカギともいいます。先ほどの4つのにゴールとなるKGI(Key Goal Indicator)があります。それを示すと次のようになります。
【KGI①】営業利益率の向上
├─ 記録電子化率
├─ 入力ミス件数
├─ 業務マニュアル整備率
├─ 業務時間短縮(記録/申し送り)
└─ 無駄な物品コスト削減率
【KGI②】稼働率の向上
├─ シフト提出期限遵守率
├─ 欠勤/遅刻件数
├─ OJT実施率
├─ 有給取得計画率
└─ シフト穴対応スピード(調整対応時間)
【KGI③】離職率の低下
├─ 月次1on1面談実施率
├─ 職員満足アンケート実施率
├─ 業務属人化率の削減
├─ 研修参加率
└─ 新人フォローアップ完了率
【KGI④】利用者満足度の向上
├─ ヒヤリハット報告率
├─ 記録完了率(当日中)
├─ サービス中の声かけ回数
├─ 家族連絡件数(月間)
└─ 改善提案提出数
各KGIの下にあるのがKPIです。イメージとしてあるのはパイロットが計器を見ながら飛行するようなものです。
現実論に落とし込む
こんな説明をしていると現場の人から「介護の現場を知らないからこんなことをいうんだと」お怒りの言葉をいただきそうです。
しかしこれからを聞いていいただきたい。
確かに、介護の現場で相対しているのは利用者であり人間です。しかも認知症状があったり、介護度も異なります。そこで、できるだけ現場実情に合わせて変えていく必要があります。その最初が業務の標準化です。
4oが現場の業務の標準化で目指すもの(1)5S
確かに利用者様に健常者に対する標準化を進めるのは難しいと思いますが、周りの作業環境ならどうでしょうか?あるべきところにいつも同じものを置く。掃除を同じ道具や仕方で行う。床や手すりなどいつも清潔に保つ。これなら標準化はできそうです。これを5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)といいます。
4oが現場の業務の標準化で目指すもの(2)定期異動
同じ人が同じ業務を長く続けてしまうと事業所全体の標準化は進みません。なぜなら、同じ人が行えば効率的だからです。仕事に慣れているのでスムーズに作業を進めることができます。しかしこれが、標準化を阻み結果として利益が出ない構造になってしまいます。なぜか?それは属人的な作業に潜むムダ、ムリ、ムラが気づきにくいからです。このムダ、ムリ、ムラの撲滅が利益を上げる重要なポイントです。そしてそれを防ぐのが定期異動です。
業務の標準化に次いで変えていかなければいけないのが意識改革です。
4oが現場の意識改革で目指すもの(1)利用者は勝手に来る
団塊の世代が介護の必要性を迎える現在、多くの事業所は人手不足です。利用者様は多く利用され退所や利用停止になっても別の利用者様が来られます。これは介護の世界では常識ですが他の業界では少ない事例です。人手不足は共通ですが、営業や広告もせずに収益をあげられるのは限られた業界の一つです。
4oが現場の意識改革で目指すもの(2)押し付けるのではなく改善する
ここで問題になるのが、顧客視点です。利用者の満足というと、利用者の要望を何でも聞くと考えがちですが、しかし先ほどの業務の標準化は進みません。ケアマネも顧客です。時にはケアマネの要求も業務プロセスの視点と矛盾が出てくるのです。これを「押しつけ」と呼びます。つまり、現場が我慢すればコトは済むという考え方です。しかし、これでは現場は疲弊し最悪職員が退職しては意味がありません。大事なのは全体のバランスを見て行動することです。
介護の現場の意識改革で目指すもの(3)問題はヒトではなくコト
ついつい、仕事がうまくいかないとグチりたくなるものです。そのグチの対象はいつもヒトです。「あの職員はいいかげん」、「あの利用者は問題ばかり」。このようなやり取りが多くなるのは、その対象がヒトだからです。これでは、辞めてしまえば助かる、他の人に押し付けようという解決策しか浮かんできません。ヒトから問題を切り離してコトとして捉え改善していくことが重要です。
4oが意識改革で目指すもの(4)単なるコストダウンではない
利益を出すのは費用を削ればいい。これは正しくもあり、間違いでもあります。家計ならば切り詰めれば楽になります。しかし、単なる切りつめだけでは効果が上がらないものもあります。昔、二宮金次郎という農政家がいてある上流武士の家計の改善を任されたときに米釜のススを削るように奉公人に指示をしました。ススはかまどの火力を不高率にし結果として利益を減らします。ススを削った奉公人には追加報酬をやりました。これにより、利益は増え、奉公人のやる気が上がりました。ここには単純なコストダウンはありません。工夫と改善がで利益を上げるのです。
その他、コストダウンだけの時と4oとの比較を見ていきます。
| 観点 | コストダウンだけ | 4O導入による改善 | 違いのポイント |
|---|---|---|---|
| 短期利益 | 一時的に改善 | 継続的に改善 | コスト削減は頭打ちになるが、4Oは成長を生む |
| 職員満足 | むしろ悪化しやすい | 組織風土が良くなる | カットより投資・評価が働きがいにつながる |
| 品質 | 品質が下がる危険 | 品質を高めながら改善 | ミス削減・効率向上が利益に直結 |
| 地域連携 | 変化なし | 紹介増・信用向上 | アウトリーチ強化により安定した集客基盤 |
| 利用者数 | 頭打ち | 継続的に増える | 顧客体験向上により紹介・口コミが広がる |
4oが現場の学習で目指すもの(1)ヒトは飽きやすい生き物
ヒトは新しいものには注意を払い、慣れてくると注意が削がれます。どんなに頑張っていても同じことに飽きてしまいます。これはどうしようもない事実です。これを知っている優秀なリーダーは常に飽きを生じさせないために仕事の中にゲーム性を取り入れたり、挑戦的なテーマを投げてみたり、命令してやらせるのではなく自分たちが考えてやるようにすることで新しい風を送り込むのです。
4oが現場の学習で目指すもの(2)ヒトは難しいことはやらない
職員に目標と資格のどちらを選ぶかと質問したなら多くの場合に資格を選ぶでしょう。それは、資格は個人のものであり目標は組織のものであると思っているからだと思います。そして、資格は難しくとも自分の手にはいる動機づけがあります。しかし目標は自分ではどうにしようともならないと思っていることが多いのではないでしょうか?ですから、組織と個人は常に目標設定でもめるし、組織は目標に対してのコミットメントを求めます。
能力さえあれば目標を超えるのは運と環境だけです。例えば、MLBで1年しか本塁打競争に出てこない選手もいれば、大谷選手のように毎年競争に出てくる選手もいます。明らかに大谷選手は能力が高くケガという環境さえ整えることができれば競争の上位に並ぶことができます。しかし、そうでない選手は体調という運の要素が大きいことが競争に加わる要素になってきます。そんな運に左右される選手が多くの困難を引き受けるでしょうか?
4oが現場の学習で目指すもの(3)ヒトは成功したことはやる
同じ複数のことをルーチンのようにやり続ける人がいます。そのほとんどは、過去の成功体験の繰り返しです。仕事前に今日のやるべきことを確認するのも、同じ左足からフィールドに入るのも、スケーターが必ず同じ方の靴から履くのも、過去にそのやり方で上手くいっているからなのです。もし、失敗したならそのルーチンを辞め別のルーチンを探し始めるでしょう。
この理由を探すのは簡単です。ヒトは成功したことを繰り返すためにその前後の行動を繰り返すことで成功の再現を望んでいるからなのです。もし、KPIがそのヒトが望まない行動なら継続することは難しいのです。KGIを達成したKPIは繰り返し行われます。しかし、KGIが達成しない時失敗したKPIをしっかり見直す必要が必要です。
4oが現実論とBSCをつなぐ
少し時間をかけて現実を見てきました。これらの内容は、これまで様々な現場で実践してきたことばかりです。しかし、現実だけでは大きな改善はは図れません。新しい環境に対応した進化がないからです。BSCは既に多くの国の企業が数々の成功例を重ねてきたビジネスのやり方です。そこに、4oという現実の問題解決で得てきた経験で介護事業所の問題解決を図ろうとしています。
段階的ジャストサイズ的に実施する
段階的というのは、最初から完全系な形で導入するのではなく、組織に慣らしていきながら導入を図るというものです。また、組織の成長に合わせて少しづつ高度にしていくということです。
ジャストサイズ的というのは、ムリに大きいサイズを着ないということです。中学生の時に2サイズぐらいの大きな制服を買った時のようなことをしてしまうと。組織の場合、脱ぎたいという願望が出てきやすく、結果途中で止めてしまいかねません。
なぜ導入すべきか?
以上のことから介護版BSC×4oモデルの導入をお勧めします。繰り返しになりますがまとめますと、
✅ 単なるコスト削減に頼らない収益改善
「業務の効率化」「人材の定着」「紹介の増加」が、収益アップにつながる流れを作れます。
✅ 全体のバランスを可視化できる
「営業だけ頑張っても現場が崩れては意味がない」――4Oモデルは、全体のバランスを保ちながら改善点を明確にします。
✅ チームごとに目標設定ができる
職員ごとの役割に応じたKPI(重要指標)を設定でき、管理職・現場・事務すべてが関与できます。
そして、組織のサイズと人の学習に合わせてジャストサイズで運用していくのです。
活用事例(一部)
介護版BSC×4oモデルの活用事例を紹介します。
- 【通所介護】送迎ルート最適化(Operation)×地域見学会(Outreach)で稼働率アップ
- 【訪問介護】記録ICT化(Operation)×面談強化(Organization)で離職率改善
- 【小多機】家族共有ツール導入(Operation)×紹介イベント(月1回)(Outreach)で紹介数倍増
- 【介護配食】面談研修による営業力強化(Organization)×マーケティングによる営業実行(Outreach)
このように部分的な導入だけでも成果が出ます。
導入サポートもご用意しています
- ✅ 無料4O診断シート(Excel形式)
- ✅ 4Oスコアの見える化テンプレート(Googleスプレッドシート)
- ✅ KPI設定ガイド+職員向け研修支援資料
今すぐ診断・導入を始めませんか?
介護経営の「見えない問題」を、見える化して解決へ導く。
それが、介護版BSC×4Oモデルです。
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