人材マネジメント
普遍的マネジメントにおける人材マネジメントの位置づけ
中小企業は人材が財産といわれている。つまり人財という考え方だ。しかしながら、中小企業の多くは上手く人材を人財に変えることができていない。
プロセスから見た人材マネジメント
プロセスから見ると人材マネジメントは、採用(インプット)、育成、評価、異動(コア)、退職(アウトプット)の3つのプロセスとみることができる。業務プロセスで漏れプロセスを説明した。人材が足りないと①採用を急ぎたくなるが、②退職をしてしまう原因、③教育と異動と評価が不十分だといくら採用しても次々と退職してしまう。このように、注いだ水が漏れるかのように進んでいくプロセスが漏れプロセスだ。
中小企業では人材不足の問題が生じている。採用してもなかなか人が集まらない。せっかく採用しても辞めてしまう。教育しても仕事の生産性があがなないなど問題は様々だ。しかし、人手がないからといって多くの支出をして募集広告する前にこの人材マネジメントを理解し実践してほしい。遠回りしなくて済むだろう。
採用
募集を止めろ
いきなりだがここから入りたい。すぐに募集を止めてほしい。なぜならば、募集しても人が集まらないからだ。近年、多くの企業からこのような問題が挙げられている。なぜ募集しても人が集まらないのか。それは簡単だ。媒体が多すぎるのである。昔は、人材募集といえば、媒体は限られていた。リクルートの江副氏が創業当初に学生情報誌を創刊した時に売れに売れまくった。その後、週十年が経ち紙の媒体だけでなくネットでも情報提供している。専門企業だけでなく多角化で多くの企業も参入している。広告収入では成り立たず、応募があった時だけ料金を徴収する成果型が増えている。 このように、競争が激化し価格競争になると応募者が分散し、募集の効果が低減してしまう。これは不可逆的な進展で改善することは当分ないだろう。
また、学歴社会は大企業に就職したいという学生を多く生み、より多くの学生が大企業へ就職するだろう。中小企業の人材獲得のチャンスはどんどん低減し、もはや偏差値の高い新入社員の獲得は難しいだろう。こうした学生の関心は企業の安定性、高い福利厚生などだ。中小企業にはなかなか手の届かないハードルなのだ。
しかし、新卒の学生はだ。
新卒の学生の多くは、1-3年でいったん会社を辞めてしまうものが多い。看板の大きい一流企業に入っても、やらされるのは営業やプログラミングなどだ。仕事の負荷が大きいが給料は安い。やりがいのある仕事や高い給料レベルになるのはまだまだ先の話だと気づく。最初は今やっている仕事に没頭するが、コツが分かってしまうとこんなものかとたかを括る。
そうして、最初の会社を辞めてしまうのだ。次は学生の時と異なる仕事選びをするようになる。働き甲斐や仕事の楽しさだ。新人数年で少しの貯金はできた。住むところや食費も親のすねをかじれば、少しは何とかなる。それよりも本当に自分のやりたい道を探すのだと第2の職探しが始まる。自分探しも含めて。
こうした人があなたの目の前にいると仮定しよう。この人をもし採用したいとするならどう声を掛けようとするのか?
全員がスカウト
これまでは人材募集は人の手に委ねていた。広告会社、人事担当、職業安定所などだこれらの人々は採用のプロフェッショナルである。しかし、先ほど述べたようにこれらの人々のところに来ないのが現状だ。ではどこにいるのだろう。それは我々の身近にいる。知り合いの息子、友人の娘、友人や友人の友人などだ。その中には優秀な人も入るだろう。
私の知り合いの息子もそうだ。優秀な大学を卒業して1年半ほど営業をしていた。1年目に営業成績トップにまでなった。周りは期待をかけてくれたが夢は消えた。先が見えてしまったという。そんな時に彼の友人が彼を誘った。ある起業家のパートナーにならないかと。就職ではない。オンラインサロンに入ったような感じだ。起業家から起業や経営などに関する情報を得て、様々な関係者とあっていく。これから、自分も起業家になるかベンチャー企業に入るかもしれない。
そうだ。彼の友人がスカウトだ。その起業家が彼の友人にスカウトするように言ったのか。彼の友人が自発的にスカウトしたのかは分からない。でも確実に彼の人生はこれで変わった。
ハント制度
このような採用のプロフェッショナルではなく、会社の全員がハント(採用)することをATOOSではハント制度という。
金を掛けずに効果的に人材を集められるのはハントだ。ハントは最も直接に人材を得る手段だ。「誰が」ハントするのかは、全スタッフです。これまでは、人事、総務部や経営者、管理者だったけど、ハントは全スタッフだ。「誰を」ハントするかは、身近に関係する人に声をかける。知人、友人、利用者の家族だ。これなら、わざわざスカウトする時間をとらなくてもできる。スタッフは身近な人の人となりを知っている。「どのように」ハントするのかは、後で詳しく説明する。
コミュニケーションがうまい会社は物が売れ人が集まる
これまでは自社の商品やサービスの販売と人材集めを分けてきた。基本的には会社は分業制である。商品を売るのは営業部、人材集めは人事部というように。しかし、大企業ならともかく中小企業は分業していては効率が悪くなる。しかも大企業ですら優秀な社員はハントが多い。この人は良いな、ウチの会社に入らないかなと思うと自然に誘いたくなる。「もしよろしければ、ウチの会社に入りませんか?私の方から人事部に話をつけておきますから」というように。ヘッドハンティングもハントだ。
そのためには普段からいろんな人とコミュニケーションを取っておくといい。介護業界は閉鎖的だ。なかなか他の業界の人とコミュニケーションを取らない。業界内で賄ってしまう。出入りの業者もお決まりで利用者も同じ人。どうしてもコミュニケーションの相手が決まってしまう。そうすると業界用語が多くなる。お互いに知っていることは省略する。これではほんとの意味でコミュニケーションがあるとは言えない。コミュニケーションがうまいというのは誰にでも相手に合わせて会話できるということだ。
外部の人と仕事の話をするとポジティブな会話になる。なぜなら、自分たちの業界を悪く思われたくないからだ。外部の人は介護業界に固定したイメージを持っているかもしれない。「介護のお仕事って大変でしょ?」と言われたら「大変なところもあります。ありがとうって言われることも多いんですよ。」というように。これが内部の人同士の会話だとネガティブになりやすい。どの利用者が世話がやけるとか、どのスタッフが仕事の仕方が悪いとか、経営や管理に対する不満とかが多くなる。不満の言い合いはその場しのぎのはけ口である。そのうちだんだんつらくなる、暗くなる。
結局はコミュニケーションがうまいというのはポジティブな会話ができるということだ。ポジティブな会話ができれば物が売れ、人が集まる。お金がお金を生むというが、人が人を生む。ポジティブな人がいるところにはポジティブな人が集まる。
人集めはセールスだ
では具体的にどのようにハントするのかに入ろう。ハントの人材募集の方法がまるで商品の販売をしているかのように人を集める。つまりセールススキルで人集めをするのだ。セールスをやったことのない人にとってセールスに技術があるなんて知らないだろう。ニコニコ笑みを浮かべながら売り込んでくるイメージが浮かぶ。しかし、自分が売り込まれた時のことを思い出してみよう。売り込まれそうだと感じた瞬間に拒否するだろう。またはやんわりと断るかもしれない。また、仲良くなることを連想するかもしれない。しかしこれも売り込まれそうになると先ほどと同じように対応するだろう。
よく売れるセールスは、心理学者のようだといわれる。その人との会話から、または表情から、その人を分析して対応していくのだ。
セールスに抵抗がある人は安心していただきたい。セールスはモノやサービスを売るので相手にとってはお金が出ていくということを感じてしまう。だから抵抗にあうのだ。しかしハントは違う。お金が入るのだ。また職を手に入れることができるのだ。だから、ゆっくりと説得ができる。
ハントの7つのステップ
人集めのためにハントする言葉として7つのステップに分けて説明します。この部分は動画を何度も観て、スムースにしゃべれるように練習してください。
人集めのためにハントする言葉として7つのステップに分けて説明します。この部分は動画を何度も観て、スムースにしょべれるように練習してください。
①観る
先ず観察です。ハントする相手の様子を観ましょう。忙しかったら話もできないでしょうし、タイミングが悪かったらせっかくのハントもまた切り出せなくなってしまうでしょう。
ただし、あまり観察ばかりして臆病になって気後れしてまた今度にしようというようにはならないようにしてください。多少のタイミングの悪さは大丈夫です。
②魅力的な人から声をかける
次は実際に声を掛けましょう。ハントしようと思うとあなたの目はハンターのようになっているはずです。相手はあなたの目に怯えてしまうでしょう。だから雑談から入ります。
雑談のテクニック
雑談とは微妙な関係の人と仲良くなるためにの世間話です。雑談で大切なことは、①スマッシュを決めないラリーをする。②自分から話を切り出して反応を窺う。③共感のメッセージをたくさん送る。④思考でなく感情で会話する。⑤礼儀は感謝と気遣いを行う。⑥相手がおしゃべりモードになったら、気持ちよく話させる。⑦悪口は身近な人のことは言わず有名人の悪口を言う。
③質問する
場があったまってきたら本題に入ります。「お仕事はしているのでしょう?」クローズドな質問で聞きます。通常はオープンな質問をしますがこちらの目的がハントしたいと目的が明確なのでクローズドな質問をします。相手の「大」が不明な時やこちらがある程度セールススキルを持っていればオープンな質問から入ったほうが良いでしょう。既に雑談で場があったまっているのであればクローズドな質問からでいいでしょう。
「お仕事はしているのでしょう?」の他に、「今日はお休みですか?」「これからお仕事ですか?」「今のお仕事な長いのですか?」「など現在の仕事についての質問です。仕事をしていてもパート勤務ならオーケーです。パート勤務なら「集に何日働かれているのですか?」と尋ねてみましょう。
前にハントしている人なら、「その後、今のお仕事を続けているのですか?」
④ほめる
もし、仕事を現在フルタイムの仕事をしていたなら、「さすがですねー」「知りませんでした!」「すごいですねー」「積極的ですねー」「そうなんですか」とさ・し・す・せ・そでほめます。とっさに出てこなかったら「あー!」「いいですねー!」「うわー!」「えー!」「おー!」でリアクションする。
⑤優しく押す(比)
そして、いよいよこちらの狙いを伝えます。「もし、良かったらウチで働きませんか?」と仮定の質問で誘います。強引に迫らず、一度で決めず、少しづつ高めていくように。前にハントしているなら働く利点を伝えましょう。子育てで最近仕事をしていない主婦の方ならすぐに働くのに使うスキルがないはずです。そのような場合、ヘルパーの仕事は家事の仕事延長みたいな仕事もあるので特別なスキル入りません」パート勤務ならば、「1日だけでかまいません」。
コミュニケーション力がありそうなら、「あなたはお話が上手なのでウチならすぐに即戦力です」。人柄が優しそうなら、「介護のお仕事はボランティア精神が必要なのでやさしいあなたにピッタリよ」。
「先ずは見に来ませんか?」と誘ってみます。
ハンターから見て聞いたことと比較して相手に具体的に提案していきます。比較することによって提供するものが相手にどのような効果をもたらすかを説明していきます。
⑥少し掘る(因)
相手が気づいていない原因結果を明らかにしていくことが因です。原因結果を明らかにするためには問題解決を図ります。問題解決を構造としてとらえた場合、現状と目的のギャップが問題です。そしてその問題の中に原因があります。
先ほど大のところで相手が願望に気づいていない説明をしました。願望がないわけでなく気づいていないと捉えました。大で説明したように目的や目標は願望でしたがもう一度目的に戻します。その目的に気づいていない状態ですから、
目的を問うたとしても答えは返ってきません。そこで現状→問題→原因→目的(願望)の順番で問うていきます。
例えば、今パート勤務なら、別の仕事なら今の仕事を辞めなければいけない。この場合、(現状)今はパート勤務、(問題)仕事を辞めなければならない、(原因)(週何日も介護の仕事に行かなければならないと思い込んでいる)、(目的)週1日でもいいのであれば働ける、というように話をもっていけばいいのです。
また、「介護職って大変そう。じぶんにできるのか?」という疑問が出てとしましょう。この場合、(現状)これまで介護職の経験がない、(問題)自分にはできないのでは、(原因)これまでは上司が教えてくれた、(目的)誰かがきちんと教えてくれるのならできそう。
しかし、(因)は少し上級レベルのハントスキルなので、上手くできなさそうなら利点を伝えることに集中しましょう。
⑦結ぶ
そして、相手の反応が少しでも良かったり、疑問が解消されたのなら、次のステップに誘いましょう。次のステップとは、総務に話を通しておく、一度事業所を見に来てもらう、次回もう少し詳しい仕事の内容を伝える、募集要項を渡すなどです。いきなり、総務まで話をもって行けなくてもスモールステップで進められればいいのです。
独立心を見抜け
幻冬舎の箕輪氏
幻冬舎の箕輪氏と社主である見城氏の出会いは755で当時双葉社の編集者であった箕輪氏が見城氏に本にしたいといってきたことがきっかけだ。乗り気でなかった見城氏は最初は断ろうとしたが箕輪氏は引かない、箕輪氏は見城氏の全著作を読み脳みそが沸騰していたという。その後幻冬舎の移った箕輪氏だが彼には就社したという意識が感じられないし、見城氏も箕輪氏を社員とみていないようだ。
そもそも見城氏は、出版業界全体に明るい未来を描いていない。本は確かに売れなくなってきている。見城氏は2020年に幻冬舎の利益はゼロになるといっている。しかし、本自体の魅力がなくなっているわけではない。能動的に集中しなければ活字なんて長時間読めない。活字を通して、フェイス・トゥ・フェイスで濃密に情報伝達できるのが本の強みである。それと、出版社の編集ノウハウと営業、ネットをうまく組み合わせることで出版不況の中でも利益を生み出すことは可能なのだと考えている。このような社主だからこそ熱狂があり、その魅力に箕輪氏は引かれ集まってくる。
中村文昭氏の場合
中村文昭氏は講演家だ。自分の経験をもとに人生に必要なことをアドバイスしている。中村氏と後に出会う田端俊久氏の出会いも強烈だ。学校卒業後、東京へ出てきた青年が居酒屋で田端氏と出会う。田端氏は「なんのために」と上京してきた理由を中村氏に問う。説明してもさらに「なんのために」と問い続ける。お金を稼ぐためと答えても何のためにお金を稼ぐのか、さらに何のためにと問うて自分の行動の本当の目的を考えさせようとしたのである。その後、野菜行商の田端氏の仕事を手伝いながら、人間関係を学んでいく。そして田端氏の勧めで飲食店経営に独立する。「期待を上回る」サービスを行い人気店となり複数店経営する。それらのいきさつを話す中村氏話が起こし六を講演家としてデビューする。
田端氏もその後中村氏の師匠として注目が集まり講演家となる。
この二人のケースは、まったく一般的なサラリーマンと異なるストーリーに聞こえるかもしれない。しかし、伝統的で内部資本がたくさん溜まった企業は別として、通常の中小企業は明日をも知れない。数十年続けることができるかもしれないし、数日で潰れるかもしれない。そんな環境の中で社員に残せるのは待遇よりは独立した知恵、経験、熱狂である。すべてを伝えられないかもしれない。すべてを伝えてもうまく活用できないかもしれない。でも独立心が、社員に残せる一番の財産なのである。
そのためには、独立心を持った人材を採用するのが一番社長であるあなたを活かすことなのである。
独立心を見抜け
採用する際に社長であるあなたはどのような人材を採用しようとしているのか?真面目で協調性が高い人材と一見掴みどころがなくだけど独創性があるという二人の面接をするとしようあなたはどちらを採用するのか。正解はない。ただし、あなたが真面目で協調性が高いのなら、掴みどころはないが独創性が高い人材を採用するのもよい。なぜなら、あなたを補完できる人材だからだ。
組織は同じ種類の人材の集まりでは脆弱だ。同じ考えや同じノウハウで行動すると変化のないときには効率的だ。しかし、新たな変化が生じたときは、それが逆に足かせとなる。クレイトン・クリステンセンの著作「イノベーションのジレンマ」の第二章にこのように述べている。「イノベーションの問題を研究するにあたり、研究者、コンサルタント、経営者は、業界をリードする企業が技術革新に直面するとなぜ失敗するのかを説明してきた。そのほとんどは、技術革新に対するマネジメントの対策や、組織的、企業文化的対応に焦点を当ててるか、あるいは実績のある企業が、抜本的な新技術を扱う能力を問題にしている。すなわち、抜本的な新技術に対応する対応するには、実績のある企業がつちかってきたノウハウとはまったく別のノウハウが必要になるというものである」
逆に独創的な会社であれば、バランスの取れた人材がいるとブレーキを踏んでくれるだろう。異才というのは社長から見て自分と異なる才能のことであって、変わり者ではない。また、それほど多くは必要ないのだ。
ブラックだったが恨むどころか感謝している
ブラック企業が多くなっている。社員やバイトを長時間で過酷な勤務を強いている。私も以前コンサル会社で長時間で過酷な勤務を経験してきた。確かに現在は法的な条件を満たしていない企業はブラック企業の誹りを受けなければならない。
私の個人的なブラックであるかそうでないかの判断の基準は、長時間で過酷な勤務でどれだけリターンが期待できるかだ。私は人の倍以上働いたがそれ以上のノウハウや経験をさせてもらった。そしてチャンスをものにできた。ブラック企業は搾り取るだけ搾り取り本人には残すことはしないか、本人にその濃密な経験を活かそうとしないかである。長時間で過酷な労働は長続きしない。短期間にそこで得ることができれば次に移ることが肝心だ。先ほど挙げた二人のケースも一時期長時間で過酷な労働をしている。企業と個人が納得できているかも大事であろう。強調するがブラック企業はなくなってほしい。
育成と評価
自己鍛錬論
育成という言葉に受動的な意味が含まれるという誤解がある。それは育てて完成させるというものだ。受動的な教育に成果は期待できない。私が営業研修を行っていた時、同じプログラムを同時並行で行っていた隣の教室の受講者が講師に対して後ろ向きに座って参加していた。不服従の姿勢である。参加しないわけではなく、休むわけでなく、ただ後ろ向きなのだ。その受講者は、強制参加の研修に参加していた。学びたくない人に学ばせるのだ。
研修よりも独りで学ぶ力
ATOOSのコンテンツに「独りで学ぶ力」がある。能動的に学ぶ力をつけるために宮本武蔵の五輪書を参考にしながら解説した。いざ自分で独学してみると困難が付きまとう。何で学べばよいのか、どのように学べばよいのかが次々と問題が起こっていく。そして新たな発見があり、工夫ができるようになってくる。どこが分からないのかが明確な人はポイントを伝えればすぐに理解してしまう。どこが分からないのかもわからない人に教えるのはとても難しい。能動的な人に詳しい説明はいらない。きっかけさえ与えればどんどん自分で学習する。
直きを挙げて、枉れるを錯く
二宮金次郎の言葉に、「直きを挙げて、枉れるを錯く」という言葉がある。直きとは、素直、飽きない、真面目という心が真直ぐなことだ。枉れるとは、媚びる、さぼる、嘘をつく、いじめるという心が曲がっていることを指している。 何が必要な行動で何が間違っている行動かを理解させるためには、この直きを挙げて、枉れるを錯くを実際に行わなければ分からすことができない。しかし、先ほどの不服従の受講者は行動は枉れているように見えるが、心は直きなのだ。よくよく吟味しなければならない。
挙直
金次郎の言行を残した「報徳外記」の挙直にこのように示されている。「もし私意によって、或いは親戚を指し、或いは恩人を挙げ、或いは朋友を選んだとしても、その罪は村民に帰す。~もし当選者が草取りをしなければ~投票したものを呼んで~汝らの過ちである。汝らは変わって草取りを行いその過ちを補うべきである」
つまり、報奨制度なのだが選ぶのは上のものではなく、自分たちから選ばせる。直きではなく私意によって選んだ場合もし選ばれた人が直きの行動をしていない場合は連帯責任だからなというのである。
リーダーはどのように教化すべきか
挙直で社員に自分たちで模範となるものを選ばせたがリーダーは何をするのか?
衰退する会社の社員というのは始めからなまけ癖が付いて朝早くから夜遅くまで働くことが何になるのかを知らない。なしてや道義に至っては言うまでもない。これらの社員に対して身をもって導くのでなければ、いくら面と向かい、日数を費やして言い聞かせても、決して効果がないのである。それ故に、業績が低迷した社員を導くのであればリーダーが朝早くから会社に来て巡回するのである。そして、社員が遅れても何も咎めず、暑寒雨雪に関わらず一日も怠らないのである。と「報徳外記」の教化にある。 さらに、自分が先務してやってみせるのである。朝早く来て社員が働きやすい環境に整えるのである。それを見た社員は、どう思うだろうか。リーダーが毎日毎日我々のために環境を整えてくれるのは何のためか。リーダー自身のためではなく社員のためにやってくれているのであることに気づく。そして自分たちの行いを恥じて怠情を改めるのである。そして、リーダーより早く会社に訪れ勤務する者も出てくる。このようになれば、行動と教化は並び至るのである。
分度を守らせる
分にしたがい度をまもることが勤、分にしたがい度をまもらないことを怠といい、度をつづめて余財を生じるのを倹という、度をこえて不足を生じること奢という。貧富盛衰は勤怠倹奢にあり、勤怠倹奢は分度にある。
分度を評価に用いる
分とは、人の中庸の分度とは人の能力を調査して、多くの人の通計をもとにして能力の盛衰と意欲の強弱の平均をして、その中をとって分を立てるのである。つまり、人の能力は良い時もあれば悪い時もある。だから良い時と悪い時を平均して分とするのである。
度とは、その中をまもり勤怠倹奢にならないようにすることである。バラツキをなくし結果として分に辿り着くように工夫するのが度である。
能力を言葉として表現し、そのレベルを決め昇格降格の判断とする分度評価制度として運用する。その能力がが向上すれば格が上がったとみる。人道を尽くさず天道のままに流されるとしたなら勤怠倹奢に陥る格が下がったとみる。
リーダーは、社員の自己鍛錬がうまくいくように、上司は巡回し足りないところを勤労し余るところを譲するように短伝する。また、しっかりと中がとれるように共通の訓をつくり守らせる。能力が向上し、自譲が続くようなら格は上がり、支援を受け続けないと維持できないよう奪がつづくようなら格は下がる。
勤倹譲の譲は、自譲と他譲にに分けられ、自譲はさらなる能力向上の原資となり、他譲は他の人の支援に使われる。
昇給と直接に連動させなくてもよい。昇給のための分度ではなく、人格形成のための分度であり能力開発のための分度である。
仕事の中に楽しみを入れる
業務を効率化するためにマニュアル化などをすると仕事がつまらなくなると考える人がいる。そういう人はマニュアル化=単純な仕事と考えているからであろう。また、効率化しない仕事は、毎回仕事の内容が変わり、その変化が仕事の愉しみに感じている人もいるかもしれない。脳は変化を求める。変化がなくなると脳は休み集中力がなくなる。そのような、脳のメカニズムを理解し集中力を高めるように工夫しなくてはならない。
その一つが楽しみの要素を仕事に取り入れるということだ。買い物もエブリデイ・ロープライスよりも特売日があった方が楽しい。ゲームもイベントがあった方が面白い。仕事もイベントがあった方が変化が生まれ脳が飽きないのだ。イベントだけに期間が限定されていると良い。その方が、だらけなくて済む。
イベントは、目的、方法、評価、インセンティブで分ける。先ずは、目的別で説明しよう。
目的
提案系のイベント
提案系のイベントは、従業員に何らかの提案をさせ、アイデアを集め、ちょっとした報酬を払うものだ。
改善系のイベント
改善系のイベントは、職場や業務の改善する目的で行われる。QCサークルや改善活動などがこれに入る。
売上系のイベント
このイベントは、収入アップを目的として行われる。提案系のイベントと近いが目的が異なる。アップセルキャンペーンや縄ないキャンペーン、コラボキャンペーンなどが入る。
方法
個人なのか、グループなのか、全社なのかの規模に関わるものだ。やり方も参加する人が誰もが分かっている必要がある。自主的にやるためには人に言われて理解するより、自分で事前に理解できるように。ルールを説明しているものがいい。長めならば、途中経過を知らせるものがあった方がよい。
評価
イベントで出てきたものをだれが評価するのか。経営者、従業員代表や委員会などのグループ。個人の投票である。イベントの内容と活性化の度合いで変わってくる。もちろん全従業員がかかわった方が活性化度は高い。
報酬
ゲームの要素があるならば何らかの報酬があった方がうれしい。競い合わすなら順位を決めて上位が報酬が多くなるものがいい。ある程度数を求めるのなら、1回いくらで報酬を払うのもいい。内容次第で、評価しランクごとに報酬の増減を付けてもいい。ただし、無報酬は良くない。少しでもいいのだ払おう。
注意すること
提案系のイベントを行うと、投資が必要な提案が含まれてくる。良い提案であっても投資が必要になると経営者は二の足を踏むかもしれない。そうするとイベント自体がしりすぼみになる。そのようなことにならない為にも、ルールで投資限度額を決めておけばいいのだ。
退職
良い退職と悪い退職
退職に良い退職と悪い退職があるとしたのなら、退職した後に今回より改善できるかである。改善できるのなら理由はともあれ良い退職と考えよう。改善できないのなら悪い退職だ。改善できない理由として考えられることは、退職してもその分就職させることができるという条件下にある場合だ。このような環境だと改善しようという意思が沸き起こってこない。「どうせまた入れればいい」という頭だから改善ができない。もう一つは改善の仕方を知らない。問題解決は、一見簡単に見えても複雑だ。それを一人の頭で解決しようとすると単純なことしか思いつかない。あるいは過去にあった経験の焼き直ししか出てこない。また、頭の中だけで問題解決しようと思うから複雑な問題に対処できない。紙に書いたり、図にしたり、見える化したりして、問題解決を俯瞰できるように工夫しよう。
辞める理由
1年から3年で辞める理由
よく新入社員が3年以内で辞めてしまうと嘆く経営者は多い。その理由は、仕事と将来が分かってしまったとという思い込みである。一つに新人に基礎的な仕事しか与えずにおく場合だ。新人は仕事の表面を見ることが多いので、分かったつもりになりやすい。例えば接客の仕事は表面的には気を遣いクレームなどの精神的負担が大きい。しかし、接客を通して人間観察、心理分析、性格別の行動の特徴、効果的な対応の方法という分析的なことで技術を深めることができる。また、顧客との信頼関係の構築、顔や名前の記憶してもらいこちらも記憶する。信頼関係が深まることで利用回数が増える。または相談に乗ったり頼られたりする。異動しても新たなところに来てもらえる。
短期間で辞めないようにするには、メンター制などにより新入社員の頃から特定の人と早く関係性を築き不安があったり問題が生じたときに相談できる存在を置くことが必要だ。
4年から7年で辞める理由
この時期に辞める理由としては、ライバルとの競争の結果だ。降格がない人事考課制度の場合は先に昇格したものを後から追い抜くことは難しい。そうすると先に昇格したライバルとの差をなかなか詰めることができない。そうして、退職するのである。分度評価制度は、自身の人格形成に対する評価だ。人格は上がることもあれば下がることもある。それを維持し、日々鍛錬するのが人格である。また、人の昇格を妬むのは人格が形成されているとは言えない。
8年以上辞めない理由
このぐらいになるともう辞められなくなる人が多くなる。家族もでき将来に対する出費の準備をしなくてはならなくなるこの時期にはリスクを負えなくなってくる。高い人格形成ができていると、他にも移れることが可能だ。しかし、人格形成を基準にして考えると、このような時期だからこそ人格を高められる可能性が出てくる。比較的早く人格形成ができるのは、生知で生まれながらにして人格が高い人である。そのような人は周りの消化も最初から高い。学知は、学んで知る人だ。経験や知識を後から学び行動を変えていく人だ。困知の人は、困ってからでないと学ぶことができない。しかし、その困難を通して後から生知の人をぶち抜くことができる。だから、人間形成は時間とは関係ない。
退職者と繋がれ
採用のところでも述べたように、独立心の高いものを採用し、仕事を教え、人格を伸ばす機会を与える。その中から、卒業を選ぶものも出てくる。そのような人材は、我々の会社から巣立つヒナだ。箕輪氏や中村氏のように自分の可能性を伸ばす機会を求めて外に出ようと考えているかもしれない。 そのような人は退職者ではなく卒業者である定期的につながりを持ったり情報交換したり、コラボレーションしたり業務提携したりする方が多くの利点がある。教育を損と思うのは、このような後の繋がりを考えていない経営者の考えだ。立派に成長した卒業生との関係はたぶん一生続くであろう。
最後に
少しきつい言い方をするかもしれないが、首にしてしまう社員が多いのは、育てず喰わせられないから首にしてしまっているのだ。だから、人材マネジメントで育て、業務マネジメントで喰わせ、顧客マネジメントで稼がせ、財務マネジメントで金の使い方を教え、独立させることを勧める。そして、卒業させて繋がり大きなグループを作ろう。