業務マネジメント

業務マネジメントに必要なこと

 中小企業の生産性向上のためには、この業務マネジメントの重要性は高い。業務マネジメントの目的は業務のスループットの質と量の向上だ。生産性向上のためには対象とする業務に対して正しい知識、経験、判断力、臨機応変な対応力などが必要だ。それを遂行するためには、標準化推進に対する成功体験や覚悟が必要なのである。標準化は正直に言って楽しくないのも事実かもしれない。地味だ。裏方の仕事だ。例えば、車で例えるなら外観のデザイン、内装、エンジンのパワーは一般の購入者が意識することだがサスペンション、ブレーキ、ギアなどはこだわる人は好きな人だろう。しかし、目に見えないところが重要であり。パフォーマンスに影響してくるのである。しかも、細部にまでもこだわる必要がある。神は細部に住むのである。プロセス全体にも目を配らないといけない。

あるチェーンの業務の問題

 標準化では有名なあるチェーンのケースで考えてみよう。このチェーンの業務マニュアルは整っており教育もしっかりされている。直営とフランチャイズがバランスよく存在し、低迷した時期はあったが現在は好調である。

 私の町の中心地にある大きな商業ビルの一階にこのチェーンの店舗がある。多分この町で一番大きいだろう。窓際に座ると外の景色が見えて落ち着くのでお気に入りの店舗だ。商品を購入しようと思うと店内は混んでいて注文受付は列ができている。感染症対策のために間隔が置かれているので6、7人並んでも出入り口付近まで並んでしまう。しかし並んでいてもなかなか進まない。3か所ある注文受付も1つしか使っていない。最初に気になったのは厨房のスタッフの動きだ。5,6人いるのだがよく見ると動きがスムースではない、さらに見ると注文に合わせてそれぞれが作業しているが各工程が決まっていない。導線は乱れスタッフはぶつかりそうになっている。ソルト缶は取り合いになっている。その間後工程のスタッフは待っているだけだ。フロアにはマネジャーがいるが忙しくても作業に入らない。ほかの店舗は忙しいときにマネジャーは作業に入っていた。それどころかマネジャーはあまり緊急でもないことでラインのスタッフの手を止めてしまっている。しかし、ピークは過ぎてもマネジャーはこのことを問題視していないようだ。それどころかほっとしたのかその後はマネジャーは本部の人間と私のすぐ横で立ち話をしている。情報は駄々洩れだ。

 標準化が進んでいるチェーンでなぜこのようなことが起きるのか?1つにスタッフはまだ未熟な人ばかりなので経験を積ますことを優先しマネジャーは問題があること話わかっているが今は伝えるべきタイミングではないと判断した。だから、忙しくても手伝わずピーク後も注意はしていない。2つに、マネジャーは問題と捉えていない。列は長時間に及んでいないし、その後は客数も少なくなったのでスムースに作業は進んでいる。マネジャーは全体を観察し指示する必要があり基本的には作業に入らないようにしている。だから、業務に入らず問題もないので注意もしない。

 1つ目の予想は改善化とリーダーシップのについてのことでなので人材マネジメントで取り上げるのでここでは指摘しない。

大分流比因人による分析

 2つ目の予想は業務マネジメントの範囲なので指摘する。3か所ある注文受付も1つしか使っていないのは、立ち待ち行列の解消だ。立ち待ち行列では、2列よりも1列のほうが結果としてスムースに進む。それではなぜ3つ注文窓口があるのかは分からないが、最近ではこのチェーンではどこも窓口を一つに絞っている。次にスムーズなプロセスを行っている店舗は、実はスタッフの移動が少ない。それと反して手の動きが速い。これは各スタッフの作業が「大」と「分」が明確だからである。そして、お互いの声を掛け合っている。これは「流」を確認していることにつながる。遅れていたりすると励ましたり落ち着かせたり気持ちを察することもできる。また、プロセスが詰まってくるとマネジャーがそこに入ったり、スタッフに指示して作業の分担を変更している。それに対して、この店舗のスタッフは移動が多く、スムースに移動しているのではなくバタバタとしている。これは「大」と「比」して「因」を判断し「人」を再配置することだ。つまり、大分流比因人で対処することができる。

 大分流比因人とは、ATOOSの考えであり、問題解決のフレームワークである。先ほどのケースならば各業務の目的を明確にし標準的な作業時間を決めるのが「大」である。「分」は各業務がダブリがあったりモレたりしないように設定するのである。「流」は「分」のバランスを考え適切に並べることである。「比」は相手を観て「大」と現状を比べことである。「因」は「比」の原因を察し因果を判断することである。「人」は原因に対して実際に人が行う行動である。

 業務マニュアルは作業の内容と手順を表したものだ。業務マニュアルを作成した段階では理想となる絵をを描いただけである。別の時に同じ絵を描こうとしても一緒にはならない。描く人、技術、経験、環境、心理状態などが違うからである。それを適切な業務プロセスに改善しようとするのが、大分流比因人である。

 6つの要素をまとめて「大分」「流比」「因人」とする。

「大分」によって業務を設計する

 それでは業務マネジメントを進める上でビジョン、ミッション、戦略をまず前提の「大」とする。

 組織は戦略に従うので、その先頭に立つ者がガーバナーだ。ガーバナーは代表取締役や個人事業主だ。ガーバナーは、フロントエンド、コアプロセス、バックエンドの合わせて4つの業務の監督者でもある。

 このように業務を分けるのが「分」である。フロントエンドの仕事は、顧客を創造したり、受注したり、顧客のクレームを受けたりする。顧客のクレームなどはバックエンドの仕事のようになる場合もあるが、顧客からの情報は有益で次の仕事のチャンスが含まれるので、フロントエンドの業務の一部として考えたほうが良い。研究したり開発したりするのもフロントエンドの業務に入る。全体として、マーケティングや営業、研究開発の業務である。

 コアプロセスの業務は、製品を作ったり、物流としてモノを運んだり、システムを羽後タス業務だ。全体として、製造、物流、システムなどの業務である。

 バックエンドの業務は、人を採用したり、お金の管理をしたり、予算を作ったりする業務だ。人事、会計、財務などの業務である。

 そのそれぞれに仕事を設計し人を配置するのが「大分」による業務の設計である。

 業務の設計は、「見える化」によって簡易な組織図にする。役割名、氏名、主たる業務内容を記す。そして、作業量、人数なども書いておくことが必要だ。

 業務内容の詳細は、標準化のマニュアル化で文章化しておく。マニュアルも「見える化」しておいて、棚の中にしまっておかず、オンライン上で誰でも必要に応じて権限が渡された後に閲覧できるようにしておかねばならない。

業務は人の独占業務にしてはならない

 標準化をせずマニュアルも作らないと、その業務はその担当者固有の業務になってしまう。もしそういった業務になってしまうと周りがおかしいなと思っても口に出せない。辞めてしまって、ほかの人にその業務をさせようと思っても、どのようにやっていたのかがわからない。不正が行われても気づかない。マニュアル作りを面倒だと思う人がいたり、そんな時間があるのなら仕事をしてお金を稼いだほうがいいと思うかもしれないが、急がば回れの諺ではないが、実行すれば必ず生産性は上がる。空いた時間で作ればいいと思うかもしれないが、標準化が遅れるところはそこがボトルネックになって全体の生産性を悪くする。

「流比」によって業務を調整する

 多くの企業は「大分」を実施しているが、大事なのはこれからだ。設計してもそのように動くとは限らない。先に紹介したチェーンのケースを思い出してほしい。スタッフは流れが滞らないように声を掛け合ったり、確認したり、励ましたりしていた。これは決して動機づけやコミュニケーションだけの話しではないのだ。隣り合うプロセスは、各々を理解していなくてはならない。理解できないブラックボックスになっているとそこにモノや情報が滞る。あるいは、それぞれまたは一方がストレスを感じる。各プロセスは、自身の使命を持っている。隣のプロセスとは使命が違うのだ。それを同一にすることはできない。しかし理解し協力することはできる。または全体の使命のために支援することはできる。

 もう一つ重要なのはバランスだ。量と質のアウトプットとインプットを近づけなければならない。バランスが悪いと間にボトルネックが生じる。各プロセスの間だけではなく、各プロセス内も同様だ。人事のプロセスは、採用、教育、評価、退職のプロセスがある。わかりやすい。インプットがあって、コアプロセスがあって、アウトプットがある。業績が悪くなり、その年の採用を止めてしまうと、その後業績が回復した時に人手不足に陥る。他のプロセスから人材補充の要求が来る。慌てて中途採用をする。すると品質のバラツキが出て研修を多くする。というようにバランスがいったん崩れるとバランスを保つために次々と追加の業務が増えていくのだ。理解とバランスについて詳しく説明しよう。

隣人とのケンカの原因

 そもそも人間は隣の人と諍いを起こす。満員電車で隣の人に足を踏まれて喧嘩する。電車が満員であることが原因なのに。隣の部屋の音が気になる。壁の薄さが原因なのに。駐車している車の持ち主と言い争いになる。駐車スペースが狭さが原因なのに。

 企業でも上流や下流の部門と諍いを起こしやすい。営業と製造との諍いは、製造はこんな納期の余裕のない仕事をとってきやがってと営業にクレームを言う。営業は納期が守れないと顧客に叱られ製造に文句を言う。営業と製造に限ったことではない。

こうした原因は、問題の全体が見えていないことにある。

他にも、テレビや電話で大きい音は気にならないが音楽の音は気になる。駐車スペースで軽側の方に寄せて止めて自分は出やすくする。先進国の動物愛護を後進国に押し付ける。

企業でも納期を守りたい生産管理と品質を守りたい品質管理は仲が悪い。

こうした原因は自分のルールを他が守っていないと許せないという思考にある。

また、車に乗ると気持ちが大きくなる。高速道路で他の車を止め脅す。友人にほらを吹く。子供の自慢をする。企業でも組織内で権力争いを行う。

 これらの原因は、自分を大きく見せようとすることにある。

 まだあるのは、理屈で相手を打ち負かそうとする。一度決めたらそれを変えない。話し合いはいつも平行線で終わることが多い。企業でも、顧客でも上司でもおかしいと思ったら議論し主張を変えない。

 これらの原因は、自分が正しいと思い込んでいるからだ。

 まだある。日ごろからイライラしている。つい相手の言葉に引っかかる。睡眠が不足して身体がだるい。企業でも、会社や顧客からの制約や要求がキツク余裕がない。

 これらの原因は、常にストレスを溜めていることにある。

 こうしたことから、隣人や上流や下流の部門と軋轢を招くのだ。お隣さんは大事だ。遠くの人より大事だ。あなたが幸せになれるか、業務がスムースにいくかはお隣さんと仲良くするかにかかっているのだ。

待ち行列とASEP

 業務のバランスを考える際、プロセス間のスピードの差に着目する必要がある。スピードの差が生じるとそこに滞りが発生する。その一つの考えに待ち行列がある。この理論に1つの公式がある。

待ち時間×人の到着率=待ち人数

というものだ。待ち時間は自分の順番が来るまでの時間、人の到着率というのは1分間に後ろに何人来るか、待ち人数は入り口で何人待っている人数である。この公式により、待ち人数÷人の到着率=待ち時間が導き出されるので、自分があとどのくらい待つのかがおおよそわかる。条件は待ち人数が変わらないことだが、非常に混んでいる時間で待っている人数があまり変わっていない時に役立つ。

 スーパーなどでレジに数列並ぶと人数の少ないレジに移動したくなる。しかし、注意しないと先の人のかごの中の点数をチェックしないと移動する前の方が速かったと地団駄を踏むことになる。

 合理的な選択は、外資系の映画館のように窓口は複数でも列は一本にすることだ。列は長くなるがスピードは速い。そして全員に公平だ。このような並び方でスーパーのような地団駄を踏むようなことはない。

 ASEPはイスラエルの数理生物学者の理論をフランスの数学者が「行列積の方法」として開発された。例えば長い1列のマスがずっとつながっている状態で1つ飛びに球を入れておくとする。そして、一方へ全体の球が進んでいくようにする。ただし、直前に球がある時には進めないこととする。車に置き換えると球は車でマスは道だ。1つ飛びとは車間距離で、直前というのは車間距離がないことだ。全体が一つ飛びで均衡している場合はスムーズに進行する。その状態の真ん中ぐらいに球を一つ入れてみる。丁度、3つつながったクラスターができる。その状態になって先ほどのルールで進行させると。その渋滞したクラスターは進行方向とは逆に渋滞クラスターは進んでいく。

 高速渋滞が起こりそれがどんどん後ろの方に下がっていくことや、なぜか突然に渋滞が解消されるメカニズムがこれでわかる。渋滞をさせないためにはきちんと車間距離を保つことだ。

「因人」によって業務を改善する

サービス業の標準化

 日本の中小企業の生産性を考える際にサービス業の標準化は避けられない課題だ。産業の構造の変化を歴史的にさかのぼると農業から製造業へシフトされてきた。これは日本でも産業革命が起きたからである。製造業は外需産業なので最初はコストが安いので競争力があるが、コストが増加し為替の変動で弱体化した。外国からの内需拡大を求められその結果増加してくるのがサービス業なのだ。最初はモノに価値をおいているので評価されにくいが、理解されるにしたがってコトにも消費が広がってくる。さらに、サービス業はその複雑さを増すようになってきた。

 サービスは、形がない、保存がきかないなどの理由でその成果を正確に評価することは難しい。また、サービス業の生産物、特に人を相手にした場合のサービスは人間の行動、性格、感情などによって標準化するのは一般的に難しい産業だといわれて久しい。しかし、中小企業のサービス業こそ標準化への挑戦が重要であり、競合他社よりも先んじれば大きなアドバンテージをつけられるのだ。少し事例を見よう。

カット専門店の事例

 QBハウスは、理容店を1000円で初めてカットしたことで有名である。ご存じの方も多いので、標準化の観点から考えたい。先ずは、業務の簡略化である。当時でも一般の理容店よりも1/3以上安価な価格で行うのは相当業務を簡略にしなくてはならない。普通の理容店では、髪をカットする、髭をそる、洗髪する、セットする。肩をたたく、耳を掃除する。ざっと1時間ぐらいをかける。休みの日に集中するので数十分待つこともざらだ。もし、パーマや髪染めなどしたなら3時間近くはかかる。多分冬の午後から入店したなら出るときは夕暮れだろう。

 それに対して、1000円カットは髪をカットするがハサミより早いバリカンを多く使い正確性を高めない(場合によってはスキバサミで誤魔化す)、それ以外はやらないが、洗髪しないので細かい毛の残りやすいので掃除機で吸い取る。これで10分以内だ。さらに一人当たりの作業が1/6になることで待ち時間も早くなる。それ以外の効率化として、作業を遅らす会話はなるべく控える。指名は原則できない。作業者の導線は短くし動かなくても作業できるようにする。掃除さえもほうきやちり取りを取りに行ったりしない。

 QBカットが有名であるがこの方式は、以前からアメリカにあった。合理的なアメリカ人は散髪後効果が消えてしまうことに価値をおかない。キレイに剃ってクリームを付けた髭は翌日には延びる。洗髪もすぐに汗をかき汚れ、セットは風や枕で崩れる。耳垢は自然に溜まり、肩はスマホを見て凝る。

 もともと合理的なアメリカ人は、多くの工程を省いたのではなく、日本のように付け加えなかった。日本には職業組合があって、その統制は強く価格、休日、作業内容を縛った。

 こういったことを考えていくと、日本の場合に標準化効率化をを進めるために気を付けねばならないのは、付加価値化は効率化を前提にしたものでなくてはならない。規制や統制で守ろうとしても最終的には消費者の利益にならない。現在は、合理的な人は1000円カット(今は1000円でやっていないが)へ行き、若者は美容室へ行き、高齢者や一部の人が理容店に行き、どこも混んでいるところを見ない。

 まとめると、まずは外国や外部から情報を仕入れ、あるいは自身で分析し、効率化を図る。標準化はそれを元に戻ったり余計なものを増やしたりしないようにするためのものだ。

 サービス業は製造業とは違い合理的にできないと考える人がいる。確かに、理容店で理容師との会話を楽しむ人がいる。顧客が自分の好み理容師が記憶していることを良いサービスだと考える場合もある。顧客が寝たのならば起こさずに起きるまで待っている理容師もいるだろう。そういう店もあってもいいのだ。しかし、ここでは生産性の話をしている。速さ安さを求める顧客もいれば、丁寧さ接客の良さを好む顧客もいる。重要なのは選択できることと、できないと決めつけないことだ。サービス業の中では、人手不足に悩む業種がある。その理由の一つとして、生産性が悪く、一部の顧客の要求やクレームが多く発生し、従事者がストレスを常に抱えている。それを知っているからその従事者になりたくないと思っていることを忘れてはならない。

プロセスを見直すためには個の改善が必要だ

 これまで業務プロセスに対することを中心に説明してきたが、プロセスを形成する個について説明する。個は、人間の場合もあり、機械の場合もあり、システムの場合もある。機械やシステムについては一旦置いておいて人の場合を考えてみる。

 業務のプロセスは、インプット、個、アウトプットで構成される。そして、個の能力と個への刺激である。

インプットは、次の点をチェックする必要がある。ゴロは感驚楽常為兵に似せている。

感:個は自分の作業開始できるできるようにインプットを感じる(認識できる)ことができるか。

驚:個は作業に集中できる状態になっているか。

楽:個の環境(時間、情報、道具、その他のリソース)は整っているか。

個の能力については、情意兵だ。

情:作業を遂行するにあたっての知識は十分にあるか。準備は整っているか。

意:個の作業に対する意欲は高いか。

兵:この作業に対する技術は作業を行うために必要なものが身についているか。

 アウトプットは、作業の成果を量るものであり、大、因、果で見る。

大:作業の成果は質と量と開始前の目標に達しているか。

因:目標に達していない場合に、自身で修正できるか。

果:目標に達していない場合には、個は自身で認識できているか。

個への刺激は、短伝、内省援助、

 短伝:自己鍛錬論による指導論の中で、短く気が付いたことを伝える方法である。短伝する内容は、良かった成果、気になる成果、確認するための問、気づかせるための問いである。外観(自己鍛錬論による指導論における観察)において良かった過程、気になる過程も伝えてもよい。

個がボトルネックだったら

 個が改善を図っても直ぐには改善されない場合がある。個がボトルネックとなっている場合がそうだ。その場合には次の点に考慮する必要がある。

  • ボトルネックの個を見つけ出す。
  • 当面、他のプロセスは個のペースに合わせ、その間に個のボトルネックの原因を見つける。
  • 周りのリソースを活用して個の作業プロセスを分解して、リソースで支援する。
  • ボトルネックの改善が終わったら他のプロセスはスピードを上げる。
  • ①に戻る。

バッファーによる調整

 プロセスが直に連結されていたりプロセスや個のスピードが同じならば問題はない。しかし、そうでない場合にはバッファーが必要だ。バッファーとはモノだと時間で、サービスや作業は時間だ。バッファーはプロセス間に距離があったり、届ける時間に相田があったり、一時的にプロセス間にスピードの差が生じる場合にバッファーが必要になる。ものだとバッファーは在庫となる。在庫は多すぎると投資資金が必要になるのでなるべく少なくしたいが、少なすぎると手待ちが生じて経費の無駄が生じる。バッファーはボトルネックの解消に直接にならないが、一時的には手待ちを防ぐことができる。

 時間によるバッファーは、ボトルネックになりそうな箇所には時間バッファーを置き詰めないようにすることだ。ASEPで説明したように間隔を詰めてしまうとクラスターが発生し渋滞する。高速道路なら、遅い車、軽自動車、積載量の多いトラックの後には十分な車間距離を置かなければならない。

 まあ、そうはいっても車間距離を開けた途端、アホな車は間に入ってくるので難しい。

ラインの種類による対応の違い

 一つのラインでボトルネックが生じたなら、先ほど説明した対処になるが、生産量を増やそうとすると複数のラインが必要になる。しかし複数のラインの場合にリソースの無駄が出ることが多いので効率的に活用しようとするとラインの合流、分岐を行う必要がある。

整理すると次の4通りになる。

  • 単独型
  • 並列型
  • 合流型
  • 分岐型

 並列型は、個やプロセスの種類が異なりリソースがダブらない場合に有効である。単独型と同様にラインのボトルネックを起こらないよう調整しなければならない。合流型はプロセスのインプット及びアウトプットに形成しやすい。例えば複数の部品を使用して行う組み立てプロセスがそうだ。また、分岐型は、部品は少ないがそれを使って製造する製品が多いプロセスだ。例えば、お米を使っておにぎりを製造するラインはあるラインはお米を炊飯して具材ごとのラインに分岐する。

 合流型のボトルネックを防止するためには、合流の収束する点でボトルネックが生じないようにバッファーを設けないとならない。複数の部品の調達量は一致しないので少ない方はバッファーで在庫しなくてはならない。

 分岐型は少ない部品で複数のライに分岐する為に分岐前のバッファーが必要になる。そうでないと調達が遅れると各ラインが止まってしまう。カット専門店は顧客という部品は同一で、複数の理容師のラインに振り分けられる。顧客は待つことがあっても理容師のラインは止まることはない。止まる時は、ラインよりも顧客が少ない場合、または顧客がいない場合だ。カット専門店大手のQBハウスは外に混雑状況を示す看板を設置している。店外の通行人に対して今ならすぐにカットできますよとアピールしている。これは、非常に良いアピール方法だ。特許を取得しているかもしれないが、同業者や立ち飲み屋、高回転率を目指している業態に必要な設備であろう。

プロセスの種類による対応の違い

減衰プロセス

減衰プロセスとは

 減衰プロセスは、ステップ(個)がいくつか組み合わせてプロセスになっていますが、ステップが移行する都度、前の量より減衰するプロセスだ。

 例えば、セールスプロセスが減衰プロセスに該当します。セールスプロセスは、①見込客の選定、②見込客へのアプローチ、③登録者の促進、④購買者の促進、⑤リピートの促進、という5つのプロセスがあるとする。①から⑤に進むにしたがって数が減衰する。①コンバージョンが他のステップと比べて上手くいっていない、②他のステップと比べて減衰率が大きい。ところがボトルネックの可能性があるが、③自分たちで変化させられることができる、④強化もしくは改善するコストが大きくない、⑤担当する人によって成果がばらつく。といったことを考慮してボトルネックを探していく。 

減衰プロセスのボトルネックの強化

 減衰プロセスの強化は、先ず他のプロセスと比べて減数率の大きいステップに注目します。そして、コンバージョンの上手くいっていない原因を探っていく。例えば登録者から購買者の促進のコンバージョンが悪いとしたなら原因はなにか?登録しているのに購買しない理由を検討する。ターゲットに対して有効なUSPを紹介しているか。メッセージは分かりやすくメリットがあるか。など仮説検証して改善策を実施していくのだ。

 注意点は、必ずしも減衰率だけではなく、強化もしくは改善するコストが大きくはないところも忘れないようにしよう。サイトの改造にコストがかかるのなら、次の減衰率が高いリピートの促進に強化を行った方がコスパは良くなる。

ボトルネックプロセス

ボトルネックプロセスとは

 ボトルネックプロセスは、ステップの生産量や生産スピードや許容量などが異なり、あるステップがボトルネックとなってビジネスプロセス全体の成果を落としてしまうプロセスだ。

 例えば、製造プロセスがボトルネックが発生しやすいプロセスだ。ある製造プロセスは、①行程1(1時間に100台生産可能)②工程2(1時間に50台生産可能)③行程3(1時間に70台生産可能)という3つの工程があった場合に②行程2がボトルネックになる。

ボトルネックプロセスの強化

 ボトルネックプロセスの強化のためには、バトルネックになっている箇所を探すのは比較的に容易かもしれない。なぜなら、そのステップの前に在庫が積みあがるからだ。時間当たりの生産量が少ないので、その前の生産量を処理できず在庫が積み上がるからだ。

 ボトルネックを解消するためには、①一旦、他のステップはボトルネックのペースにスピードに合わせる。そうでないとどんどんボトルネックの前に在庫が積み上がり、ボトルネックの後の工程は手隙になります。山登りなら、遅い人に一旦ペースを合わせる。遅れた者を勝手に放置してしまうとペースが分からなく、不安になり、より遅くなってしまう。②負担になっているものを除去し、必要なものを補充する。ボトルネックになる工程の負担、例えば不良品の除去、人員の補充などだ。山登りなら、荷物を他の人が持ってあげる。ストックを貸すなどだ。

ツリー&プロセス

ツリー&プロセスとは

 ツリー&プロセスは、ステップが分岐の形で構成しているプロセスだ。売上高は販売数量と販売単価に分岐し、販売数量は商圏とシェアに分岐し、販売単価は買上げ単価と買上げ数量に分岐する。ツリー図のように表現できるのが特徴だ。財務の分析や改善手段を検討するのによく用いられるプロセスだ。ツリーの一番の収束点がKGIや事業目標になることが多く、構造的にどのステップを強化すればKGIに効果があるかでボトルネックを探すことになる。

 減衰プロセスと同様に自分たちで変化させることができる、強化もしくは改善するコストが大きくないなどのポイントでCSFを見つけていく。

ツリー&プロセスの強化

 ツリー&プロセスはステップが分岐しているので、ツリー図を作って一旦解決策まで検討して、その解決策を変化させることができるか、コストがどのくらいかかるのかを検討しボトルネックを決定する。また、分岐しているために、次のボトルネックはバランスを考慮する必要がある。例えば、売上を上げるために販売数量を増やすことをボトルネックに決定したなら、バランスを考え次は販売単価を上げることをボトルネックにすることを注意することだ。バランスが悪くなってから、バランスを合わせるのは大変だ。例えば一旦高額品のイメージが付いてから販売数量を伸ばそうとしても、そうは簡単に伸びてはくれない。

漏れプロセス

漏れプロセスとは

 漏れプロセスとは、インプット、プール、アウトプットの3つの要素を持っているプロセスだ。例えば、人事のプロセスは①採用、②教育と異動と評価、③退職という3つのプロセスがある。

 人材が足りないと①採用を急ぎたくなるが、②退職をしてしまう原因、③教育と異動と評価が不十分だといくら採用しても次々と退職してしまう。このように、注いだ水が漏れるかのように進んでいくプロセスが漏れプロセスだ。

漏れプロセスの強化

 漏れプロセスを強化する場合には、漏れを先に防止することが重要だ。人事プロセスなら③退職の防止策の検討、②教育と異動と評価の見直し、①採用の強化の順番に考えていくことが必要になる。例えば、会員ビジネスなら③会員の退会防止策の検討、②会員サービスの見直し、①会員募集の強化の順になる。市場シェアを上げるなら、漏れた市場にたいして、提供しなかった製品やサービスを出すことは可能か、カバーしなかった顧客にアプローチできるか、競合で失った顧客に対してどんな手が打てるかを検討する。

因果心事による業務フロー分析

 作業に障害が発生した場合に、その原因を追究するために因果心事で検討する。詳しくは別のところで因果心事を説明しているので詳しくは説明しないが、障害の果(結果)のプロセスを、因(個の自因、作業のインプットとなったものの他因)、作(意図、目的、目標)、縁(作業手順、環境など)に分けてみる。それを因果展開、自場展開して原因を探っていく。

 因果心事を使うことによって真の原因を見つけ出すことが可能となる。問題が分かってもその原因を見つけることが容易でないこともある。特に制約要因になっていることが目に見えていない場合は特にそうだ。

最後に

 まとめると、業務のスループットを効率化させることは中小企業にとって非常に重要である。標準化する前に現状の業務を分析してスループットを改善しなくてはならない。

 スループットの改善を行うために、大分流比因人による分析を推奨する。「大分」「流比」「因人」の3つに分けて分析と調整を行う。

 「大分」はビジョンや戦略などに従い業務に人を割り振る。「流比」は各プロセスのバランスを調整するために人の原因と物理的な原因(立ち待ち行列、ASEP)を理解する。「因人」で上手くいかなかった場合に改善する。自分のプロセスだけでなく、社会的背景や外部環境に影響を受けることもあるので大きな視点から改善することが必要だ。各プロセスの中の個の改善を大分流比因人や感驚楽常為兵を使って行う。個がボトルネックになっていたなら5つのステップで対処する。ボトルネックを解消するためにはバッファーを上手く設定しなくてはならない。ラインは、単独型、並列型、合流型、分岐型の4種類に分けられるが、それぞれ改善のポイントが異なるので注意する。プロセスの種類も4つに分けられ、同様に改善のポイントが異なる。チャート分析に因果心事を活用することもよい方法だ。

是非、自身の業務に置き換えて改善に取り組んでほしい。