孫子兵法戦略による販売戦略篇
九地の販売戦略
孫子の兵法を販売戦略に読み直した時に、おさえておかかなくてはならない前提としては、2つあります。一つは、孫子の兵法は戦争を前提にしていますが、ビジネスは戦争ではないということです。戦争は相手の兵士を殺し合い軍隊を攻撃しその力を無力化することが目的です。
販売ビジネスは顧客の事業目的に適応した解決策を競合よりも迅速適切に提供することです。したがって、戦争ではなく競争です。因みに競争という言葉は福沢諭吉が英語のCOMPETITERを訳した造語だそうです。
もう一つは、顧客の存在です。孫子の兵法には顧客という概念はありません。そこで、ATOOSではこちらの解決策に合意していただいていない顧客内部の方と競合をを兵法の適用する対象とするという考えのもと説明いたします。顧客の一部を兵法適用とするのはいささか不適切ではないかというご意見も考えられますが、相手陣営かこちらの陣営かと考えればこちらの陣営をより多くすることが競争の実態を表すことになります。
九地の販売戦略は、九地の販売工程、利による転地、観察による有利不利の打開策、四態での対応、三位の対応の5つです。
九地の販売行程
九地の販売工程とは、九地を営業活動のプロセスに置き換えて適切な対応をとるということです。
九地を営業プロセスに置き換えますとと次の9つです。
1:散地(顧客に対して自社を知ってもらう段階)
2:軽地(顧客の情報収集をし自社が願望を知る段階)
3:争地(顧客の願望を踏まえ自社の最初の解決策を提案する段階)
4:交地(自社の解決策に対し顧客の意見を調整する段階)
5:衢{く}地(顧客内部の方と交流する段階)
6:重地(調整した意見を取り入れ再度提案する段階)
7:泛{はん}地(解決策が受け入れられず攻めにくい段階)
8:囲地(競合に有利な段階)
9:死地(契約に至る最後の段階)
上位の中の内、泛地と囲地は販売工程が上手くいっていない場合の工程です。ここは、後で対応策を説明いたします。
業種によって販売工程は異なるかもしれません。また、顧客との関係において省略される工程もあるでしょう。その辺りは柔軟に読み替えていけば良いと思います。
利による転地
九地を前に進めるためには、利によって転地を求めていきます。
転地をすることによって顧客に利益があると示すのが求められる行動です。また、利だけではなく転地をしない場合の害も説明していきます。
利とは解決策がもたらす顧客の利益です。具体的にどのような利益があるのかを示していきます。
害とは解決策を取り入れない場合の顧客にとっての害です。利と害を示すことによって次の転地を促していきます。
大分流感驚楽による提案行為
大分流感驚楽による提案行為は応用技術のところで説明しています。利による転地を促すために詳細に説明したものです。
ここでは説明を省きますが、参照してください。
三十三訣の観察
九地の販売工程と利による転地を行っていくわけですが、その間に顧客の状況を観察していき適切な追加の対応をしていきます。
観察には相敵三十三訣がありましたが、十種類を営業に置き換えると顧客の動きと競合の動きに分けられ、顧客には支援し競合には対応していくことになります。
基本は顧客から情報を得ていくのですが、最近ではコンプライアンスなどに関わることから情報を得にくくなっています。そのために、観察による動的な情報収集の重要性が高まってきています。
三十三訣では、何々の状況だからこのように判断するとなっていました。例えば、遠くにいるのに挑んでくるのは、こちらが進むのを待っているからだと。
それに加えて対応を考えねばなりません。先ほどの例ですと、遠くにいるのに挑んでくるのは、こちらが進むのを待っているからなので、挑発には乗らないというようにです。
営業の場合の顧客の例えでは、ここ数年業務量が増えて疲れていて、そのためにこちらの提案に無関心なので、アウトソーシングサービス会社を紹介するというようにです。
また、三十三訣の状況がこちらにとっての利なのか害なのかによって対応の方向も違ってくるでしょう。
三十三訣の十の分類をビジネスで見た時には次のようになります。
1:動静全般
2:環境の変化1(周辺の変化)
3:環境の変化2(組織内部の変化)
4:言葉遣い
5:組織体制
6:体力
7:士気
8:待遇
9:規律、統制
10:企て
四態での対応
四態とは、提供技術で説明しておりますが、人には人それぞれの心の構えがありそれに沿った対応をされると促されますが、沿わない対応をされると促されず、反発したり動かなかったりします。
そのために、適切なその判断と対応が求められるのです。ここでは四態の説明は省きますが四態の対応に基づいて対応していきます。
泛{はん}地と囲地の対応
泛地と囲地は順調な営業行程ではなく、不測の事態になります。そのために、事態から抜け出し九地の販売工程に戻らなくてはなりません。
先ずは、泛地と囲地なのか三十三訣なのかの見極めが必要です。三十三訣での対応が必要ならばそれを行います。例えば、関連部門の部長は競合と商談をしているようだ。、競合との提案の比較をされる可能性があるので、親派の総務部長から提案の内容を教えてもらう。<衆樹動者、來也。(木々が動くのは、来る兆候だ)>
または、衢{く}地(顧客内部の方と交流する段階) の対応が不十分であった可能性も考えられます。
三十三訣の対応を行っても九地の販売工程に戻らない時は、泛地と囲地の状況に入ったの可能性があります。泛地とは(解決策が受け入れられず攻めにくい段階) でした。囲地は(競合に有利な段階) でした。これまでの対応だとなかなか九地の販売行程に戻ることは難しくなります。そこで担当者ならば自社に戻り上司と相談し組織的な対応策を検討するようにします。