マキャベリストの諫言
いかにマキャベリストは正しかったのか
孫子兵法戦略による生き残り戦略は数年前に説明しました。主に組織内による権力争いの中で立場ごとにどう生き残るかを説明したのであります。様々なマキャベリストの言葉を繋いで、もし将来に権力に巻き込まれそうなとき、或いは巻き込まれたとき、或いは巻き込まれた後に、どのように行動するかを説明したものでした。数年後にある企業の内部抗争の詳細を聞きましました。このケースがマキャベリストの諫言にどの程度当てはまったかが私の関心の的でした。諫言に照らし合わせたら34項目のすべてが当てはまったのであります。偶然かもしれませんが、この符合は偶然にしては一致し過ぎています。このことを前置きとして、いかに符合していたかを説明を試みるとします。
孫子の兵法戦略による生き残り戦略の構成では、①一番下の階層にいる時、②ライバル同士で競争している時、 ③中間管理で競争している時、④社長や上級管理職にいる時の順で説明をしました。ただし今回は①一番下の階層にいる時を最後にしています。今回の話しの中心人物であります経営幹部がもし今後対応するとしたらどうすればよいかをそれに盛り込んだからです。それと同時に過去の行動の問題点を反省し、組織を一部の人間の手から解放し、正しき道を目指して欲しいからであります。
ある企業の内部抗争
大きな権力を持っていた経営幹部は、役職定年の期間に入った。1年を待てば定年後役員になることを誰もが予想していました。経営幹部の後任は経営幹部の右手であります。管理職が有力視されていた。しかし、役員が経営幹部が役職定年したことに乗じて、いきなり組織改革を行い、経営幹部の独占していた部門を解体し、経営幹部は役を解かれ、管理職は降格させられました。経営陣は役員の組織改革を結果的に認めました。認めた理由は不明であります。
ライバル同士で競争している時
9.敵や相手を利益で動かす:経営幹部は役員を利益で動かそうとしてはいない。ただ攻撃しただけでした。
10.友を使って情報を得よ:経営幹部は役員の動きを予測できていなかった。完全な情報不足であります。役員の情報を得る人がいなかった。
11.友には用心せよ:もし人を使って情報を得ようと知っても、逆スパイになる可能性があります。
12.人の手を動かせ:管理職は経営幹部の手足でした。。管理職は経営幹部を信じすぎていました。
13.燃え残りを残すな:役員は経営幹部や管理職のよりどころとなる部門を組織改革という名のもとに解体しました。
14.勝ち過ぎるな引き際が大事:経営幹部は現場の権力を自分のものとし役員は傍観するしかありませんでした。経営幹部は政敵でした。別の経営幹部を追い出しました。経営幹部は汚れ役を引き受け多くの立場の者を辞めさせました。
15.攻撃する相手を見極めろ:経営幹部は役員の力を見くびっていました。辞めさせられたものの力は小さかったのですが経営幹部に対する怒りは燃え残っていました。
15.自分をバカに見せること:経営幹部はスキがなく見せ、役員は孝行爺の様に見せていました。
中間管理職で上下に挟まれている時
16.上司より目立ってはいけない:経営幹部は経営陣より目立ちました。。周囲も経営幹部がいないと現場は回らないと思っていました。
17.上司や敵に狙われてはいけない:役員は経営幹部の活躍を忌々しいとみていたようです。
18.上司や部下の弱みを見つける:役員は経営幹部の役職者定年の弱みを見つけました。
19.完璧な従順な部下を演じよ:役員は経営幹部と異なり経営陣の重々んな部下に見せた。役員は経営陣の経営幹部に対する貢献を潰し、積極的に行動に出ました。
20.身を守るために孤独になるな:役員は手足が少ないこと弱みでしたが、別の経営幹部が現場復帰しました。
21.他人を自分に依存させよ:経営幹部は管理職を完全に依存させた。
22.綿密な計画を立てる選択肢が決め手だ:役員は組織改革の綿密な計画を立てました。
23.大胆に行動せよ:役員は理事会にかけずに大胆な組織改革を断行しました。
24.タイミングこそすべてだ:すべては経営幹部の役職定年が絶好のタイミングでした。
25.小物に扱われるな:役員はそれまでにない役員というポジションを獲得しました。
26.小さなことに手を出すな:経営幹部は部門の小さなことまで口を出し手を出しました。
27.完璧さは親しみをおぼえず:経営幹部の攻撃心は強く、過去に政敵を追い出していました。
社長や上級管理職にいる時
28.名声の効果をつかえ:経営幹部の名声は強力過ぎるほどでした。
29.資格で人は尊敬したり恐れたりする:資格のない、経営陣は尊敬されませんでした。それを恐れた経営陣は役員の力を借りました。
30.人は信じたいという欲求を持つならば与えよ:経営陣は経営幹部から貢献した者として信頼を期待していました。役員からは経営に貢献しましたものとして信頼を期待されていました。結果は役員を信頼を優先しました。
31.改革は小さく行わなければならない:大きな改革は抵抗にあいやすい。今回の役員の改革は一旦成功したように見えますが将来の問題も起こりそうであります。
32.時には混乱させて操れ:役員は経営陣に経営幹部の大きすぎた権限に将来の不安を経営陣に訴えた可能性があります。役員は小さな改革では経営幹部が将来的に復権すると予測して大きな改革を行いました。
33.軽々しく人前に出ない:今後の経営陣は誰になるのか?
34.かたちがないものが強い:経営幹部の権力は誰が見ても分かりやすく、役員の行動は水面下で進んでいきました。
一番下の階層にいる時
1.他人を知る:権力の失った元経営幹部はもう一度役員を分析しなければならなりません。
2.目的を知らせてはいけない:元経営幹部の復讐する目的を役員に知らしてはいけません。
3.あまり多くを語るな:元経営幹部の行動は役員に見られています。語ればそれは噂になって伝わります。
4.みえないものは存在しないことに等しい:元経営幹部は辞めてしまえば影響力を完全に失い、役員の計画は完成します。
5.言葉よりも行動が大事:直ぐに恭順の態度は疑われる。先ずはダメージを受けています。ことを示し、次に備えることが重要です。
6.降伏して時を待つ:反撃の機会を伺う。役員は壊すことができましたが、作ることは未知数です。役員の手足は2人の経営幹部しかいない。2人の経営幹部の能力は元経営幹部と元管理職に及ばない。将来的に多くの問題が発生する可能性があります。。
7.能力のすべてを見せるな:状況をみて行動すること、つまり待てば元経営幹部を必要とする状況が現れます。
8.失った力の源を回復すること:組織改革を元に戻すこと。辞めた元管理職を復職させること。
今後は自分の貢献と権力に溺れず謙虚になること。
ある企業の内部抗争はなぜ始まったのか
最後に、権力闘争が起きるいくつかの原因を列挙し読者が自身の会社に当てはまっているかを見ていただきたい。そして今回はアトオスの諫言も加えていますので参考にしていただきたい。
評価制度が形骸化し従業員の動機づけになっていない
そもそも評価制度は、経営陣が組織の成長に伴い感覚に評価から制度的な評価に移行することによりガバナンスを効率的にする一面があります。しかし、評価制度を入れたとしてもそうでないににしても公平、公正である運用がされていないと動機づけの問題が生じます。
職務行動よりも政治的な行動が評価の対象になってしまっています。
評価の結果が職務の貢献よりも経営陣への貢献が優先されてしまうとイエスマンばかりが重用され他のものの動機づけがさらに下がります。
多くのものは羊の様に従順か猫のように関心がない
結果として、評価されない能力のある者は退職し、残る者は長いものに巻かれる羊のような従順な人間か、どうせ評価されないのだからと無関心になる者しか残りません。
外部との競争や顧客の満足が少ないと内向きになりやすい
なぜこのようなことが起きるかは、外部に敵や向かわざるを得ない問題が少ないと権力争いが勃発します。
経営者の正しき姿勢が鏡のように反映される
このような状況が続くと経営陣が裸の王様となり企業は衰退していきます。
アトオスの諫言
経営陣は姿勢を正し、正しき姿勢をビジョンで示さなくてはならない。そのビジョンが従業員が遂行しているのかを評価で判断しなくてはならない。経営陣が自分の思うようにならないかといって評価制度を歪めてはならない。
幹部社員は、経営陣の意に沿う言動ばかりを行うのではなく、時には経営全体のために諫言しなくてはならない。それが用いられなければ一旦退き、時期を狙って再度諫言する気構えを持つ。いよいよ誠意が受けいられざれば引くがよろし。
管理者は、盲目に経営者や幹部社員に取り入られようとしても、所詮政治に巻き込まれればすべてを失う。幹部社員が行き過ぎて中庸を外れれば諫言することが大事。ゆめゆめ保険を掛けリスクを逃れようとしても人の目を逃れることができず、人望を失う。
一般従業員は、上の騒ぎを面白おかしく思うだろうがそれは足もとが朽ち果てていることを気づかず笑っているようなものである。無関心でいようとしてもそこにいる限りは逃れることはできない。また、そこから逃れても構造が似ているのなら別なところでも同じような問題に出会うか、別の問題で苦労する。ならば、できるところから問題を解決し自分でできない問題は諫言するしかない。ここまでしても改善されないのなら引くとしても、問題に向き合うことができたのだから、浮かぶ瀬は必ず現れる。