自己鍛錬論によるやり続ける力

やり抜く力

やり抜く力は数年前からよく聞くキーワードになってきています。ビジネスにおいても趣味においても、はたまた家庭の教育においてもやり抜くことができるかどうかは人生に大きさは別として影響を与えるのは事実でしょう。
成功の要因は、その人の知性ではなくやり続ける能力だということは証明されてきています。多くの人は頭が良いから成功すると思いがちです。しかし現実には必ずしもそうなっていません。何らかの行動をし続ける過程の中で様々なことが起きてきます。人間関係での諍いであったり、予期せぬ障害であったり、自らの意欲の低下であったり様々なことが起きてきます。
その時に、知性で乗り切りことが出来ても、やり続けるのには別の要素が必要だからです。つい最近まではその要素を「努力」の一言でいい表していました。しかし、努力の一言ではではつい精神論になりがちですし、どう努力をすればよいのかが曖昧になりがちです。
自己鍛錬においてもやり続ける力を獲得することはとても重要です。自分の精神と肉体を自分が目指すところまでたどり着くには一朝一夕の活動では行けません。
ここではやり抜くというよりは、やり続けることに焦点を当ててATOOSの考え方と絡めて紹介したいと思います。

流される人

「流される人」とは、ナポレオン・ヒルが著書「悪魔を出し抜け」で紹介された自分の意思を持たず、時代や他人の意見に流される無定見な人のことをいいます。ヒルによると98%が「流される人」であり、「流される人」は親や教師や制度などによって自らが思考できない人を増殖させているといいます。「流される人」は恐怖、迷信、金銭欲、貪欲、情欲、恨み、怒り、虚栄心、怠け心によって流される習慣を身につけていきます。
そのことにより周囲に批判、憎悪、中傷などを繰り返していくのです。「悪魔を出し抜け」は1938年に著作されながら親族の反対により最近まで公開されなかった著書です。古い著書ではありますが、現在でもほとんど同じように当てはまるのが不思議です。逆に今の状況がさらに当てはまるのではないかと思わせるほどです。それは、SNSでみられるやり取りの内容は正にヒルが「流される人」の言動そのものに当てはまるからです。
その指摘の中で今回の「やり続ける」ことに関連したものだけを紹介すると、

・考えたり努力したりする必要があることで、やり遂げたことは今まで一つもない
・とりあえず何でもできるが、何をやらしても大したことはできない
・同じ過ちを何度も繰り返し、失敗から学ぶことはない
・色々なことに手を出すが、全うしたことは一度もない

といったことを上げています。直接やり続けるに関連したことだけですので、補完要素も入れればさらに多くなります。
「流される人」は「やり続ける人」の反面教師です。

心場の哀怒喜楽

ATOOSの自己鍛錬論で紹介しております心場は「流される人」と哀怒喜楽は共通項があります。思考よりも感情が優位で移り気で哀怒喜楽をぐるぐる繰り返している存在です。
その心の状態を独時と周事の繰り返しで見直し理想的な状態に近づけていくのです。
哀怒喜楽にいては、「やり続ける」ことは難しくなります。なぜなら、感情が安定せず中断することが多くなるからです。
ドラマティックな哀怒喜楽な状態は、周りから見ていると感動的に見えることもあります。一度は挫折した夢をもう一度取り戻すなどのストーリーがあるからです。しかし、「やり続ける」ことで獲得したことは地味で周りから見ていて面白みがないのですが、大きな実りを得ることが出来ます。

流されない人

「流されない人」とは「悪魔を出し抜け」に紹介される「流される人」の対極にある状態の人を言います。「流されない人」は自らの意思で考え行動しその結果について誤魔化したり嘘をついたり他人のせいにしない人のことをいいます。
ここで詳細に説明はしませんが心場の平進の状態に近い存在です。

心場の平進

心場の平進は、哀怒喜楽からステージが上がり思考が優位になっていきます。哀怒喜楽のくりかえしから解き放たれ物事の真実が見えてきます。哀怒喜楽と異なり心の安定が得られてきますので「やり続ける」ことができやすくなります。また、明確な目標を持ちやすくなります。必要なことと不必要なことの判断ができてくるので、不必要なことに時間をとられたりすることが少なくなってきます。
人間関係においても、因果心事などで客観的に分析できていきますので感情にからめとられたりすることが少なくなって、自分がやることに戻りやすくなります。

自己実現者との共通性

ATOOSの心場展開論による動機づけで紹介したマズローの自己実現者の15の特徴の正しい目を持ち、他者を受容し、自然で、課題中心で、自立していて一人でも孤独を感ずることなく、孤高な存在で、でありながら共同体意識を持ち、少数との深い関係を好み、認識が新鮮で、神秘的経験を有し、民主的で、高い倫理観を持ち、哲学的なユーモアがあり、創造的で、超越的な存在という要素は「流されない人」や「自己実現者」や「平進」の状態にある人に多くの要素が共通しています。
「やり続ける」ために必要な特徴でもあり、「やり続ける」結果に身についた要素であるともいえます。

報酬について

ここでいう報酬とはやり続ける力を得るためのエネルギーのことです。すべての活動はエネルギーが必要です。エンジンに例えると着火は意思、シリンダーのストロークは繰り返し、そしてガソリンはストロークを維持するための燃料です。

報酬の種類は、外部から得るものと自分の内部から得るものの2種類に分かれます。モチベーション理論でいわれる外的モチベーション内的モチベーションと同一です。
時間を遡ると以前は自分の内部から得るものが中心でありました。
ヒルの「悪魔を出し抜け」の中に「人生というのは修行の場である」「人間が唯一頼りにできる力は一つしかない。それは自分の思考が持つ力。人間が唯一コントロールでき、頼りにできる力」「どんな敗北に失敗にも新しいチャンスの種が潜んでいることを知っていれば、そのまま戦い続け、最後は勝利を得るだろう。成功はいつも、戦いを辞めたその一歩先にあるのだ」などが書かれています。これらの言葉に共通するのは忍耐することで最後には勝てる、頼りにできるのは自分といった自分を鼓舞する言葉であります。

さらに時間を遡りマルクス・アウレリウスの自省録では、「それは不運ではない。むしろ、それに気高く耐えることが幸運である」「エメラルドは人に褒められなくても、その価値を失わない」「忍耐は正義の一種なり」などが書かれています。やはり忍耐、自制心という言葉が似合います。

もちろん、これらの人たちの個人的な志向性もありますが、戦争、恐慌、災害、疫病などと戦う中で自分が生み出す忍耐や自制心が自分を支えているという確信がありました。
時間を新しくに戻していくと、それぞれの戦いに勝つまではいかないものの、様々なシステム、工夫、対策によって軽減していくことが出来ていきました。その結果、それほど個人が頑張らなくてもよくなり周囲からの報酬に価値を置くようになってきます。

周囲からの報酬

周囲からの報酬について、「やり抜く力GRID」の著者アンジェラ・ダックワースは、子供への親の接し方は愛情深くどっしり構えて、厳しくしつつも温かく支えることだと示している。
自立した大人への接し方はどうだろうか。「やり続ける力」に関連したところを探していくと、「働くみんなのモティベーション理論」の著書で金井壽宏氏は「モティベーションは今、がんばるという瞬発力の世界で、キャリアは、長期的な生き方・働き方の意味づけという持続力の世界だ。両者がばらばらではない。毎日のがんばりの積み重ねなく、長期的に意味のある生き方はむずかしいし、今打ち込んでいることが長い目で見て意味の感じられる生き方につながると見通せるなら、そのことがいっそう今がんばる気を万全なものにしてくれる」と説明している。
自分の長期的な生き方に関して納得できるものであれば理性として周りからの報酬も効果があると思われます。
もちろん人間は感情を持っていますので、賞賛や承認などのフィードバックは今のモティベーションを上げるという部分で重要だと思います。

短伝と共通の訓

ATOOSでは「自己鍛錬論による指導論」で短伝と共通の訓を紹介しております。 ATOOSの考え方は本人の内省援助を中心に周りは最低限の支援をするためにかかわっていきます。そのために短伝では端的に伝えることを推奨しますし、共通の訓はコーチと本人が中長期的な目標に到達するための共有する言葉です。

自ら湧き出る報酬

内部から得られる報酬は、言葉を変えれば自ら湧き出る報酬です。「やり続ける力」を持続させるためには、この自ら湧き出る報酬が重要です。
自ら湧き出る報酬は、外部からもたらされるものではなく正に自ら湧き出る必要がありますので、その湧き出方や癖などを理解しておく必要があるでしょう。

脳内物質との関係

自分に対する報酬系の脳内物質としてドーパミンの存在が知られています。ドーパミンは、何かの結果でうれしい、楽しいなどの「快」が得られると分泌され。もっと「快」が欲しいので頑張ろうとする行動を引き起こします。

自分のやり続ける行動の中でうれしい、楽しいの状態が何らか表れていると思います。例えば仕事で設定した中間目標が達成してうれしい。テニスでなかなか勝てない相手に勝てて楽しい。ランニングで設定した目標がクリアできて小さな達成感を味わう。魚釣りでこれまでにない大きなバスを吊り上げでうれしいという気分です。
いわゆる小さな成功体験です。その成功体験を脳内で演出してくれるのがドーパミンです。

しかし、自ら湧き出る報酬の脳内物質でも、かならずしも「快」ではなく「不快」を取り除こうとする「ノルアドレナリン」という物質の存在も忘れてはいけません。「快」はすぐ手に入れなくても耐えられるが「不快」は一刻でも早く取り除きたいと思うのが人間です。自分が「快」を求めて行動する方か「不快」をのぞこうとして行動しやすい方かを理解しておくとやり続ける力の向上に役立ちます。

タイプとの関係

ATOOSでは人間のタイプを四態という分け方をしています。「思考」「感情」「感覚」「意欲」を「自力」と「他力」という意識の方向性で分けています。
この中で抜群に「やり続ける力」が強いのは「自力」「感覚」のタイプの人です。コツコツと積み上げてその苦労を厭いません。いや、苦労とさえ思っていないでしょう。一方、「他力」「感情」のタイプの人は続けることが一般的には苦手です。パッとやってパッと終わらせてデキター!と喜びたいからです。
「自力」「感覚」タイプ以外は工夫が必要になります。例えば、先ほどの脳内物質の関連でいえば、「思考」タイプの人は問題解決を思考によって解決しようとしますので、「不快」を避けようとする「ノルアドレナリン」の分泌を利用してやり続けるようにする方法も考えられます。「意欲」タイプの人は闘争心がが強いので「アドレナリン」の分泌を活用することが効果的です。

もう一人の自分

「やり続ける力」持った成功者には、もう一人の自分の存在を指摘する人がいます。ヒルは「悪魔を出し抜け」の中で極限の状態の中で目標をを信じてやり続けているともう一人の自分が思いもよらない幸運をもたらしてくれると言います。
マズローも至高経験や神秘体験の存在を指摘していますが、あまりにも一般人に共感できにくいのでもう少し分かりやすい考えを探してみましょう。

フロー体験

心理学者のミハイ・チクセントミハイはフロー体験の研究者です。フロー体験とは、人が時間を忘れて物事に熱中する瞬間を指します。フロー体験に入ると人は時間や自我の感覚を忘れて、自分の行動を完全に制御している状態が得られるというものです。
こういった体験は、一般の人でもスポーツや学業や仕事などで調子が良い時に得られた経験がある方もいるでしょう。

チクセントミハイがフローに入る時の条件として挙げていることの一つとして、チャレンジとスキルのバランスが取れているというものです。チャレンジとスキルのバランスが難しすぎても簡単でもダメだということです。
やり続ける時も同じことが当てはまります。チャレンジとスキルのバランスを適度に保つことによってフロー体験を得られ、それがドーパミンを引き出してくれるのです。

もうひとつ、フロー体験の良いところはフロー体験している間は努力から解放されます。やることの苦しみから解放され自由な気分を味わえるのです。そしてそのことがさらに楽しいを引き出し「ドーパミン」をさらに分泌させるのです。

セルフ1セルフ2

元テニスコーチで講演家のティモシー・ガルウェイは著書「インナーゲーム」の中で自分の中にセルフ1とセルフ2がおり、セルフ1は自分の意識でセルフ2はそれに応える実行する存在だといい、しばしばセルフ1がセルフ2を邪魔してパフォーマンスを低下しているのでセルフ2を開放してあげることがパフォーマンスの向上につながることを見つけたとするものです。

これも経験していないと分かりにくいのですが、簡単にその状態を説明すると上手くいった時は頭は無心な状態で身体が思うように動けている。上手くいっていない時は頭の中で考えすぎたり、自分の行動を否定するなどして自分自身を邪魔しているという状態です。Don’t Think Feel!

考えることと続けることの関係

こうしてやり続けることに関連して探していくと、必ずしも思考し続けることが効果的でもないようです。考えるタイミングは止まって考え、動き出したら動きを優先し、また止まって振り返るということの方が、やり続ける力を邪魔しないようです。

繰り返し力

やり続ける力と似たものとして繰り返し力ということを考えたいと思います。繰り返し力とは、同じ行動を複数行い自分の習慣にする力のことを指します。ですから、目標設定や自分で報酬を選んだりすることは思考で、その行動を無心で繰り返す力で習慣化し、全体としてやり続ける力とこれから分けていきたいと思います。

習慣化

やり続ける力に関して習慣化の重要性はとても大きいものがあります。先のエンジンのたとえを繰り返しますとストロークが習慣の基本ですからストロークがスムーズですと習慣化ができていきますし。ストロークが一定にできていないと習慣化は為されません。

人によって習慣の差はありますが、その習慣化する法則からどうやら逃げられないようです。人間には良い習慣と悪い習慣があります。学習の習慣や運動の習慣が良いものだとしたなら、喫煙や過度の飲酒などは悪い習慣の代表だと言えるでしょう。

悪い習慣だと分かっても脳内物質が出てそれを追いも続けるような習慣になっていくとちょっとやそっとで辞められなくなってしまいます。

ヒプノティック・リズム

ヒルは「悪魔を出し抜け」の中で、「ヒプノティック・リズムとは本質的に、精神的なものであれ肉体的なものであれ、どんな習慣も永続的に固定しようとするもの」と説明します。
さらに、「自然の普遍的なエネルギーを特別な目的のためにいくつかの異なる波長に分解され、その分解の際に使われるのが人間の習慣」「リズムとは習慣の最終段階。どんな志向も体の動きも、何度も繰り返されるうちに、習慣の原理によって、最後はあるリズムを形成する」と説明しています。

少し分かりずらいところもあると思いますが、自然に波長を合わせるように人間の習慣が生まれ、最終的には強固なリズムを形成していくというところでしょうか。
さらに、自分で考え自分の意思でコントロールしていないと「悪魔」が悪い習慣を植え付けてしまうというものです。

確かに、中小企業の経営者が一所懸命努力し会社を軌道に乗せる。自分の意思が弱く資金が潤沢になると遊びや浪費が多くなりそれを繰り返す。正に、「悪魔」が悪い習慣に引きずり込んでいるかのようです。

自制心

自分をコントロールする自制心がやり続ける力に対しての重要性は、誰もが経験的に感じているいるのではないかと思います。
しかし、様々なことが自制心を揺るがせることも多いのです。

脳が勝手に目標を切り替える

がんばって何かが少し進捗すると少し安心して他のことをやりたくなってしまうというようなことはないでしょうか。
たとえば、たまには運動不足なのでジムなどで汗を流す。気分はすっきりとしたい重もこころもち減ったように感じる。自分へのごほうびでビールをプシュッとやる。こんなことはありませんか?
新型コロナウィルスで行動制限を続けている。感染者数が減ってくると日常の行動に勝手に戻してしまう。
これらのことを心理学では「欲求の解放」といいます。

自制心の捉え方の変化

自制心についても過去と現在の捉え方も変わってきているようです。
マルクス・アウレリウスの「自省録」やナポレオン・ヒルの「悪魔を出し抜け」の中では孤独に強固な自制心を持つことの重要性が説明されていますが、カルフォルニア大ジャック・ブロックらは「自己抑制の強い人は過度に圧迫されている」勤勉性が強迫神経症につながる可能性があるとしている。(ポール・タフ「成功する子失敗する子」)
また、「成功への原動力は何か?その答えは、正確には自制心でないと思うようになった」同僚のレヴィンを自分とを比べレヴィンの一つの仕事に情熱をもってかかわり、揺らぐことなく専念できる資質。その資質にやり抜く力という名前をつけることにした。(アンジェラ・ダックワース「やり抜く力GRID」)いった考えが紹介されてい
ます。

自己鍛錬論の内なる要因を掘れ

ヒルは「悪魔を出し抜け」の中で、「自制心を養うには、まず自分を見つめ直すことから始めることだ。そしてしっかりと、全宇宙において大自然の法則以外に力は存在しない。人間に影響を与えることができるものは、その本人と大自然に力以外にはないのだ。」いいます。
ATOOSの自己鍛錬を展開するためには「自身の精神のステージを知る」「自身の目指すステージを明確にする」「目指すステージの障害となるものを除去する」「次のステージに上がるための行動を検討する」「次の行動を促すために自身に言葉を送る」という段階を経て進めます。

独学

何かを学ぼうとすると2つに道が分かれます。それは他から習うか自分で学ぶかという選択です。資金はよりかかるものの効率的には他から学ぶ方がスムーズかもしれませんが、問題があります。それは、自分で考えることが少なくなるということです。自分で考えることは、より深くその学びに入ることが出来ます。自分で学び方を研究し、効果を試すことで学び方だけではなく自分の特徴を知ることが出来、そのことからさらに効果的な学習に結びつくことが出来ます。

環境要因

「やり続ける力」にとって大きいものとしてこれまで様々なことを上げてきましたが、それ以外、これまでの成功者たちが必要だと感じたものをここでは環境要因として紹介したいと思います。

挨拶と感謝

挨拶と感謝の効用を上げている人も多いです。歳ほどの報酬に上げていませんし、入るカテゴリーでもないようです。しかし、「やり続ける力」をつけるためには必要だと思います。
なぜなら、ヒルのヒプノティック・リズムの説明のように良い習慣を突けつためには良い行動の要素が必要になるからです。挨拶と感謝は他者とのかかわりの中から生まれます。これがないと、独善的になりやすく「悪魔」につけ入れられる隙が生まれると思います。

桑田真澄

桑田真澄は読売巨人の元投手ですが、PL学園にいた時の良い習慣としてこの挨拶と感謝の気持ちを上げています。厳しい上下関係の中で鍛えられた挨拶はプロに入っても生かされます。高校のように厳しい上下関係はなくなりきちんと挨拶をして成績を上げていればチームの一員としてみてくれる。
両親や支えてくれる関係者への感謝の気持ちを持って行動していれば、引き続き支援してくれます。

掃除と道具のメンテナンス

掃除の効果をあげる人が多いです。確かに、お寺などで修行をしている人は「やり続ける力」が必要です。部屋や施設の掃除に丹念に時間をかけて行っています。
こんまり氏著書「かたずけの魔法」はかたずけのしかたを紹介していますが、かたずけだけに終わらずに心への影響を紹介しています。詳しくは、「自己鍛錬論によるやり始める力」で紹介します。

原田隆史氏の「大人が変わる生活指導」の中では、A社の女性営業社員Iさんが毎朝会社の前を一人で掃除することを決め掃除していると、知らない人に感謝の言葉をもらい自分も自然とお客様へ感謝の言葉がいえるようになり、高い目標の達成につなげることができました。それだけでなく周りも掃除かたずけをするようになりチームワークも良くなり、来店客が3倍増えました。なんと近くの銀行まで掃除をし始めました。

イチロー

イチローの道具のメンテナンスに対するこだわりは有名です。野球に使う道具は自分で行い人に任せたりはしません。道具を磨く時でも感謝の気持ちをもってメンテナンスするようです。
なぜ、それほど道具を大切にするのかの疑問に対しイチローは、「うまくなるのにはこれが一番早い」といったそうです。道具を自分でメンテナンスすれば道具の癖や状態が分かりプレーに反映してくると考えているようです。

自己鍛錬論の道具を愛し磨け

ATOOSの自己鍛錬論な中では宮本武蔵の考えを紹介しています。「兵士である者は大工である。自ら道具を研き、色々な責金、責木を作り、大工の箱に入れて持つ。(中略)大工のたしなみは、よく切れる道具を持ち、時間があれば研くことである。」自己鍛錬する者は武士であれ大工であれ皆同じだと言っています。

人間関係

人間関係も「やり続ける力」の環境要因です。誰と付き合い接することが多いかで、やり続けることへの影響が出てきます。

悪い人間関係

悪い人間関係があると悪い誘惑があり、遊びに誘われることが、良い習慣を途切れさせ、良い習慣ができないことを慰み合い、習慣化のない人間つまり「流される人」お互いがなってしまいます。

良い人間関係

ヒルは著書の中でマスターマインドという同じ志を持ったグループの必要性を勧めます。マスターマインドとは「一つの明確な目標を達成するために二人もしくはそれ以上の人間の間で築く調和の取れた人間関係」というものです。

フィンランド人のシス

フィンランド人の言葉の中で「シス」という言葉があります。意味は粘り強さという意味合いが強い。フィンランドはソビエトに侵略され数十倍の兵力の差の戦いの中で独立を死守しました。この驚異的な胆力はどのように生まれたのでしょうか?
フィンランド人はシスという資質はボーイスカウトによって子供のころからはぐくまれているという考え方もあります。

孤独な時でも

周りに同じ志を持った人が身近にいない場合は、どうしたらいいのでしょうか。その場合は、偉人、鉄人の力を借りればよいと思います。自分が手本にしたい人の本を読み、あるいは映像などを見てどのようにすれば自分も近づけるか考えればいいのです。
大切なことはその人の形だけをまねるのではなく、どう考えていたのか、このような場合その人だったらどう考えるのかを考え抜くことだと思います。

インタビューしてみる

実際に参考になる人がいたなら質問してみることが良いでしょう。「やり続ける力」がある人は必ず行動に工夫があります。
自分とは異なった切り口をもっている可能性があります。自分の考えに固執するあまりに偏ってしまわないように、たずねてみましょう。できればインタビュー形式で行うと集中して聞くことが出来ます。

最後に

今回の「やり続ける力」と次回の「やり始める力」はこれまでのようにATOOSの考え方だけではなく、古今の人の考え方や研究を紹介しながら、ご紹介させていただきました。
その理由は、この「やり続ける力」が人生に対しての影響力がとても強いからです。
ある研修のプログラムの中で、「もう一度人生をやり直すのであればどうしたい?」というワークがあります。その受講者のほとんどが「勉強をもっとやっておけばよかった」「もっと部活で頑張ればよかった」「あの時、〇〇を続けていればよかった」といった後悔の念を披露しました。私もその一人です。
しかし、この「やり続ける力」をまとめながら明日はこう工夫してもっと続けよう思い始めました。

「継続は力なり」