孫子兵法戦略による応用篇
孫子の戦い方の応用
謀攻篇の「味方が十倍であれば敵軍を包囲し、五倍であれば敵軍を攻撃し、倍であれば敵軍を分裂させ、等しければ戦い、少なければ退却し、力が及ばなければ隠れる。」を改めて整理してみます。
「味方が十倍であれば敵軍を包囲し」というのは、リーダー企業の包囲戦略と共通します。例えば、統合マーケティングの全方位化、マッキンゼーの業界リーダーはニッチ市場を作らせないプラグ戦略などは包囲戦略の類型と考えてもいいでしょう。
「五倍であれば敵軍を攻撃し、倍であれば敵軍を分裂させ」というのは、市場の選択と共通します。攻撃はいかに自分の強みを生かせる相手の場所の選択であり、戦う場所の選択であります。また、自分の弱みを生かし相手の弱みを攻撃するというのは、差別化戦略と考えることもできます。
「等しければ戦い」というのは、上手く戦うであり基本的には集中戦略だと考えます。
「少なければ退却し」というのはPPMやマトリクスで顧客をセグメントした場合の撤退戦略となりましょう。
「力が及ばなければ隠れる」というのはあまり表立った戦略としては表されていないものの、実際に行われています。中小企業で共通の名称にせずにあたかも個人店に見せる戦略があります。
力のある企業は市場の動向に敏感です。業務の合間に何かの変化を掴もうとしています。そのような状況で可能性のある新事業が見つかったなら自身の事業のニッチ市場であればプラグ戦略を実行するでしょうし、別の事業であれば模倣化戦略を仕掛けてきます。
正攻法としてのKFS
どの事業においてもKFSがあります。その基本となるKFSを理解しているかが重要です。飲食店ならば、メニュー作り、調理のオペレーション、雰囲気のある内装や視認性の高い外装、清潔な清掃、適切なサービスなどです。しかし、飲食店は競争が激しい業界なのでこれだけでは成功要因とはいえません。そこで新規性、こだわり、価格訴求、安心感などを加えることが必要になってきます。
しかし、KFSを理解しておくことで競争において重要な失敗を防ぐことができるのです。
ある地方都市のメイン道路では様々な飲食店が出店しています。2019年現在では鶏料理、餃子、うどんなどのチェーン店が増えてきました。どこもKFSを理解し出店しているので、客足は順調です。飲食店でよく言われるのは試しに入ってくる顧客をどう取り込むのかが重要です。新規性や価格訴求で誘われ試しに1度来店してくるのです。そこで先程のKFSが試されるのです。個人店で失敗しがちなのは、オープンでいきなり多くの来店があるとオペレーションが追い付かず、それによって適切なサービスができず、更に清掃ができないという悪循環に陥るので第一印象が悪くなるので再来店しないことが起きます。
奇襲を用いた展開
KFSはその事業の基本でありますから、もし競合がギャップを見つけたら直ぐに対策を講じてくるでしょう。商品にギャップがあるのなら模倣するでしょうし、価格に差があるのならばコストダウンを図り同様な価格を提示してくることでしょう。
このような競争相手の行動が予想されますのでKFSだけで競争を勝ち抜いていくことは難しいのです。
または、顧客も同じ商品や同じサービスの提供だけでは変化がなく、イメージが固定化され、期待された満足度を超え続けていくことは難しくなるでしょう。
そこで必要となるのが奇法です。
弱者の戦略で紹介した一つに先制攻撃があります。常にこちらから先に仕掛けるのです。前にも述べましたように先制攻撃された相手は後手に回らざるを得なくなり、選択の自由がなくなるのです。
しかし、模倣してきたら、型にはまらず自由に攻めます。つまり、同じことは続けないのです。価格で仕掛けたとしてもそれをやり続けてはいけません。もし、型にはまらず自由に攻めて競合の出方を見ると真似をしたりしなかったり、また観察した際に弱みが見えてくる可能性があります。
または、集中して攻撃します。孫子の兵法の集中して攻めるところは競合相手の弱みです。これは同じ事を続けても構いません。むしろ続けることで相手弱いところを攻撃していくことが可能になるのです。
正奇法の曼荼羅チャート
常に奇法を生み出すと言っても限界があるでしょう。または奇をてらうあまりに顧客が認識できないものであっては本末転倒になります。
そこで、無謀な戦い方をせずに計画的に攻撃を加えるためには、隠す手の内を計画するのです。
以前、大分流感驚楽による発想法でご紹介した曼荼羅チャートで作成してみます。曼荼羅チャートは基本は9マスなので、中央のマスに戦略名を記入します。今回は「孫子の戦略」とします。上のマスに「正攻法」と記入します。他のマスは時計回りに虚実篇で紹介した戦い方のうち1から7までを記入します8:水のように動くは7:型にはまらず自由に攻めるに統合します。具体的には、「先制攻撃」「体制を隠す」「虚を突く」「集中してかかる」「無謀な戦いはしない」「積極的に動く」「型にはまらず自由に攻める」
と記入します。これで9マスが完成しますので、あとそれぞれ展開させていきます。展開のポイントとしては簡単なものからより高度なものを企画するようにします。最初の手は上に書き、時計回りに記入していきます。大分流感驚楽による発想法でご紹介品ように「のの字型」で記入していきます。9マスすべて企画する必要はありません。必ず顧客満足の視点で戦い方を企画してください。
戦略を実行する際は、顧客と競合を観察しながらランダムに実行していきます。そうすることで、水のように自由に素早く行動することができます。